【＃コンパス】氷砂糖のような (ページ29)

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氷砂糖28つページ29

「まずい......」

ルルカとデルミンのｈｓを2コンボで食らってしまい、Cポータルは取り返されてしまった。
残り時間も半分を切っている......兄さんと私のhsが溜まればなんとかなるかもしれない。

私のライフもあと少し......
なんとか攻撃を避けているが、そろそろ危険だ。回復カード、間に合って！

「......危ない！」
ぐい、と零夜に腕が引き寄せられる。
するとすれすれの所で、デルミンのフルークを避けることができた。

その間に後ろから兄さんがデルミンを倒してくれる。
「二人ともありがとう......よし、回復！」

零夜のお陰で無駄な死を避けられた......さすがに表現を盛っているが。

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「全く......Aは本当に危なっかしいな」
「う、ごめん......」

バトルが終わった後、私は兄さんに少し怒られてしまった。
結果は勝利。
あの時死ななかったおかげで三対二の状況を作ることができ、Cを取り返すことができたのだ。

ハラハラした......一体どうなることかと。

兄さんが休憩室から出て行った後に、ちょうど入れ替わるかのようにして零夜が入ってきた。
あ、お礼言わなきゃ。

「零夜、さっきの試合はありがとう」
「ああ、こちらこそ。負けるんじゃないかと焦ったよ」

顔に出していないだけで本当は焦っていたのか......本当によくわからない人だなぁ、この人。

「足、大丈夫なのかい」
「足なら大丈夫だよ、今日はまだ痛んでないから......あれ？」

そんなこと零夜に話したっけ、と言いかけてすぐに考え直す。
あ、べつの世界線の話？

「そうかい、なら良いんだ......」

彼がそれだけ言うと、今度は休憩室に沈黙が流れた。

彼の後ろ姿は少し弱弱しくて儚く見える。

......一つ引っかかることがある。
零夜に腕をひかれた時の感触に、私は身に覚えがあった。

いつ、どこで感じたのかわからないし、そもそも零夜と会うのは初めてのはずなのに。
もしかしたらデジャヴってやつなのかもしれないけれど。

昔にもあの腕に救われた、そんな気がするんだ。