【＃コンパス】氷砂糖のような (ページ25)

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氷砂糖24つページ25

びくりと肩を震わせ、そのままびくともしなくなった零夜。

こちらに背を向けている彼は今、どんな顔をしているのだろうか。

「............」
「......ねえ、零夜」

どうして私を避けるの？
ゆっくりと聞いてみる。しかし返答は返ってこない。

そもそも出会って三日の人間を、一方的に避ける理由などあるだろうか......
余程人見知りでない限り、そんなことするメリットなんてないだろう。

うーん......どうしたものか......

「......い、今から皆にハーブティーを淹れるんだけど......零夜も来る？」

流れる沈黙に耐えられなくなり、口を開く。
そうだ、皆の中にいれば話しやすくなるかもしれない......しれない。

「......ハーブティー、」
「もしかして飲めない、とか......？」

まだ背を向けたままの零夜がぼそりと呟く。
やっぱり駄目か......？
自分が避けている人間の淹れたハーブティーなど飲む気が起きないからか。

彼のことをよく知らない私は、気持ちを想像することすらできない。

掴みどころがないとはこのことか。
私は彼の気持ちが全く分からないのに、彼の透き通った瞳は私の心を見透かしているようで......

......あれ。

「び............ッくりしたぁ！！」
気が付けば彼の顔が目の前にある。お前は忍者か。

「......皆って、何人くらい」

......え？
一瞬何を言われているのか理解できなくて、間が開いてしまう。

「......あ、ご、五人だよ」

すると、なぜかそれを聞いた零夜は表情を緩ませた。
「僕も一緒に、いいかい？」
「......もちろん！お茶会は人数が多い方が楽しいからね」

先に広場に行ってて、リリカたちがいるから。
そう言うと、頷いた零夜は少し早足でラウンジから出る。

......なんだ。嫌われてなかったみたい。
彼の意図が理解できず戸惑いつつも、私は嬉しくてハーブティーを淹れる手を急がせた。