氷砂糖21つ ページ22
結局昨日は夜中まで皆と一緒にいたため、いつも規定時刻の二時間前に起きるようにしている私だが時間ギリギリまで寝てしまった。
コンコン、と部屋をノックされる。
「A、朝だぞ」
ああ、この声は兄さんか......あれだけ飲んで二日酔いなしとか、一体どんな精神してるんだ。
......精神の問題ではないか。
「......起きているか?」
「......おはよう......兄さん......」
私はまだ重たい瞼をこすりながら、部屋の扉まで足を運ぶ。
その先には完璧に支度を終えた兄さんが、普段室内ではあまり身に着けていない外套を羽織っている。
「......忘れたのか、今日からバトルへ一緒に行けるようになるじゃないか」
そうか。だからもう羽織っているのか。
「そうか、じゃない、早く支度しないと遅れるぞ......ああ、そうだ。今日からAにはこの服を着てもらうことになった」
急かしながらも兄さんが、新しい衣装を手渡してくる。
「......今持っているものと変わらないようだけど......あれ?」
手渡されたものを広げてみると、そこには自分が今まで来ていた衣装とよく似たものがあった。
しかし、幾つか異なる点がある。
最も大きな異なる点は......
「こ、これ!もしかして女物......?」
よく見るとズボンではなくスカートになっている。
ところどころにフレアが施されており、シンプルだがとても女らしくなっている。
「折角だからと、voidoll殿に依頼して作ってもらったんだ」
「デザインは私の監修よ」
後ろからマリアがひょっこり顔を出す。
これは相当喧嘩したな......なんとなく想像がつく。
「二人ともありがとう......一生大事にするね」
兄さんはマリアを少し睨んだが、すぐに睨むのをやめた。
悔しいみたいだけど一応感謝してる......と思う。
「ほらほら、早く支度して着て見せなさいよ!」
「Aに触るな貴様!......A、廊下で待っているぞ」
うん、と二人に返事をし、また部屋に引っ込む。
私は大急ぎで支度をし、寝間着を脱ぎ......
鏡に向かい合って、自分の体に新しい服を当ててみる。
「......ふふ」
着替える手が自然と早くなる。
私は着替え終わると、力いっぱい部屋の扉を開けた。
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作者名:夜蒼空 | 作成日時:2020年3月29日 14時