【＃コンパス】氷砂糖のような (ページ20)

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氷砂糖19つページ20

「.....盛大になってますね......」
「そうだね......」

私とソーンは、成人組が酒を飲んでどんちゃん騒ぎをしているのを遠目で見つめていた。
冷やかし組である彼らが騒いでるためか、いつの間にか零夜も戻ってきて歓迎会を楽しんでいたようだ。

歓迎会も終盤。あまりにも騒ぎすぎたせいで、すでに時計の短針は４を指していた。

「なんだか残念です」
「そうだね......いつもはカッコいい兄さんがあんなに......」
「ち、違います！姉様の口調のことです！」

......え、あ、そっちか。
あれは残念だと思わないのか......？

「その......敬語じゃない姉様は僕と兄様しか見れなかったので、特別だったんですが......なんだか特別じゃなくなっちゃったので寂しいです」

やめてくれ。可愛すぎる。
私はソーンの頭をなでる。

「大丈夫。私はずっと、兄さんとソーンの家族だから」

嬉しかったからか、散々騒いだからか......ソーンは頭を撫でられる心地よさに身を任せるようにすやすやと寝息をたてた。

一度部屋に連れて行った方がいいかな、なんて考えているとき。

「......A」
振り返ると、問題の......零夜がいた。
いや失礼か。

「さっきは急に悪かったね......よければ君の弟君、部屋まで連れて行こうか」
「ああ......大丈夫だよ、ソーンは私の弟だし」

「......君、タメ口でも話せたの」

ああ、この人いなかったんだっけ。

「うん、若干無理やりだけど......せっかくだし、皆と仲良く話したいからね」
「............」

余程驚いたのか、零夜はそのまま黙り込んでしまう。
否、言葉を失っているのか？

「......ふう、ソーンはここで寝かせておこう......って、なんでここまで着いてきているの？」

ソーンの部屋に来た私は、彼のベッドに寝かせていると後ろに気配を感じた。
案の定、零夜が居る。

「......聞こえてる？」
「......初めてだ」
「ん？」

俯いている零夜の顔を覗き込む。
バチっと視線がかち合った。

「............っ、何でもない......」

乗っていたスケボー......のようなものに乗り、すぐさま逃げるようにいなくなってしまう。
あ、ちょっと。
声をかけるも遅し。彼の姿はあっという間に遠のいていく。

......何だったんだろうか、今のは。

嫌われてるようでもなかったし......とりあえず食堂に戻るとしよう。