【＃コンパス】氷砂糖のような (ページ19)

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氷砂糖18つページ19

「......では、私にも何かお手伝いさせてください」
近くにいたリリカに声をかける。
リリカは飾りつけ(簡易なものだけど)を手伝ってくれないかと頼んできた。

「......あの、Aさん」
「どうかしましたか？」

「あの、初日は......間違えてごめんなさい」

予想外の謝罪。
私は必死にリリカに声をかける。

「謝らないでくださいリリカさん！その、初日は私も......僕、なんて言って勘違いさせてしまうような口調でしたし。本当に気にしないでください」

「......ほんとに？Aさんは優しいな」
にこりと笑ったリリカは本当に可愛くて、ああ、彼女は愛されているんだなと思った。

「Aおねーちゃんだ！コクリコともお話、して！」
リリカと話していると、後ろからコクリコが話しかけてきた。
テディラビというお気に入りの人形を持っている。

「コクリコさん、こんにちは......私もお話がしたいと思っていました」

私は笑顔でそういう。
しかしコクリコは頬をぷくっとさせ、こう言った。

「......ふつうにお話して！コクリコ、おねーちゃんとふつうにお話したい！」
ふつうに......何か可笑しかっただろうか。

「敬語を使わないでってことだと思うよ！リリカもAさんと敬語抜きでお話したいな！」
「で、ですが私は......」

「あー！メグメグも！！Aにメグメグって呼んでもらいたいー！」
「あら、A。あの頃みたいにマリアって呼んでくれていいのよ？今更余所余所しいわ」

皆から頼まれてしまい(コクリコに至っては泣きそうだった)、私は敬語を使わなく......使えなくなった。
兄さんとソーンは敬語のままなのに。
どうして二人には何も言わないのか聞くと、マリアからこういわれた。

「あの氷野郎なんか気を遣わせるくらいでちょうどいいのよ！弟には敬語じゃなくてもいいって言ったんだけど、レディには気を使うのが礼儀だって言ってね......あーあ、Aとソーンはいい子なのにねえ......」
「すべて聞こえているぞ野蛮女」

ともかく、貴方はレディなんだから気を使う必要なんてないの！わかった？
半ば無理やり説得され、私は頷いた。

そっか、私レディなんだ......

「あ、おねーちゃん嬉しそう！にっこりしてる！」
「......ふふ、嬉しいよ......ありがとねコクリコちゃん」

私はコクリコを抱き上げて言う。

良い人たちに出会えたなあ。