氷砂糖15つ ページ16
「......のんびり、しすぎちゃったな」
兄さんとソーンはバトルがあるので、朝食後すぐに私と別行動をとることになった。
私も付いていこうとしたのだが、生憎バトルに参加できるのは明日から。
それに、二人にこう言われてしまった。
「姉様はお部屋で休んでいてください!」
「Aは部屋でゆっくりしていろ、顔色が優れないように見えるが......」
......確かに、兄さんとソーンに気持ちを打ち明けることができて気持ちは幾分か楽になった。
でも体調はあまりすぐれない。
僕はもとから体が弱いので、魔力で体力を補っているが......
急に新しい環境に来ると、魔力が薄れてしまうのだ。
おそらくそれが原因だろう。
しかし丸一日体を動かしていない。このままだと鈍ってしまう......
そうだ。
私は廊下に出て、少しシステム内を散歩することにした。
「皆バトルに行っているのか......そういえば男性陣にまだ挨拶してなかったな」
ここに来てから会ったのは、以前から顔見知りだった敵国のマリアさんと......あと何名かの女性の方々。
対して男性はというと、兄さんやソーンに......13とかいう男だけか。
「......何をしているんだい、君は」
デジャヴ。
そうだこの人を忘れていた。
確か名前は......
「零夜だよ、ついさっき話したばかりなのに忘れるなんてひどいじゃあないか」
少しムッとしたような顔で零夜は言う。
「すみません、ちょっと考え事をしていたもので」
「へぇ、考え事かい?Aが考え事なんて珍しいね」
......この人とは二回目だよな、話すの。
なんでこんなに私のことを知っているかのような口ぶりなんだ。
まさかこれが、俗にいうストーカーというものなのだろうか。
私はすぐさまアイシクルモーレの......
「ちょ、ちょっとまってくれ。僕は別にスト―カーなんかじゃないよ......別の世界線の君のことだったね、済まない」
世界線って、なんのことだろう。
以前話した時にも不思議におもっていたので、聞いてみることにした。
「あの、世界線......って何のことでしょうか?」
「ああ、まだ君には話してなかったね。僕は今日午後しかバトルないし、折角だから聞いていくかい」
ぽんぽん、と零夜が近くの椅子を叩く。
じゃあお言葉に甘えて。
零夜は平行世界のこと、もう一人の自分のこと......など、少し変わっていて面白い話を聞かせてくれた。
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作者名:夜蒼空 | 作成日時:2020年3月29日 14時