【＃コンパス】氷砂糖のような (ページ12)

今日:15 hit、昨日:20 hit、合計:48,254 hit

氷砂糖11つページ12

朝から調子が悪い。

兄さんが部屋から出ていったあと、僕は身支度を済ませてソーンの元へ行こうとしていた。
兄さんはいつの間にか、訓練.....に行ってしまったようで、もう姿はなかった。

昨日、今日と調子がおかしいのだ。
久しぶりの幸福感。
兄弟に会えた安心感。

全てが重なったから、本当に疲れているのかもしれない。

王宮では「何を考えてるのかわからない」なんて言われたこともあったからな。

コンコン。

「......ソーン、朝だよ」

「............おふぁようございます......ふぁ......」

ドアを開けながら、ソーンは大きな欠伸をした。
ふ、と笑みがこぼれると、それに気づいたのかすぐに顔を真っ赤にする。

「わ、笑わないでください......！」
「ふふ、ごめんごめん」

「......姉様、いつもより早いですね！少し身支度をするので待っていて貰っても大丈夫ですか.....？」

勿論、と返事をして廊下へ戻.....

ろうとした時。

「折角なので、僕のお部屋で待っていてください！姉様とゆっくりお話ししたいです！」

断る理由もない.....ので、遠慮なく入らせてもらう。
何年彼の着替えを手伝ってきたというか.....勿論抵抗はない。

別に着替えが見たいわけではない。断じて。

「じゃあ、ハーブティーを淹れておくよ」
「わあ！姉様の淹れたハーブティー、嬉しいです！」

ソーンは年相応の笑顔を見せた。

あとで兄さんにも淹れてあげよう。

ハーブティーを淹れたりちょっと片付けを手伝ったりしていたら、あっという間にソーンの身支度が済んだ。

折角だし兄さんも呼びたいな......

一人で訓練してるのかな。
僕はよくわからないんだけど。

「......あの、姉様」
「ん.....？」

「.....昨日は、ごめんなさい.....嫌なことを思い出させてしまって、その」

ああなんだそんなこと......
気にしてないよ。

「ほんとですか......？嫌な夢、見たりしませんでしたか？」

さすが弟、核心を突いてくる。

「みてな......いって言ったら嘘になるかな」

やっぱり。
姉様はいつも夢に見てしまうから。

「......今朝も、兄さんに少し......当たっちゃって。」

「そう......だったんですか」

「......僕、兄さん呼んでくるよ。ハーブティー飲んでもらいたいし。」

そう言って立ち上がった僕を、ソーンは優しく見送ってくれた。