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捌拾壱話 ページ37

ジェルside


明らかに様子がおかしい。まえの竹田みたいに、陰に魅入られたとか……?

いや、違う。るぅちゃんから影の気配はせん。
じゃあ自分の意思…?そんなわけないやろ。

目の前の舞台に上がるソレは、弟のようで弟じゃない何かである事だけは間違いない。


ジ「なーくっ、」


焦って兄ちゃんの方を振り向く。その手にはすでに藤幣が握られていた。険しい顔でじっと成り行きを見守っている。

なんで見てるだけなんや。助けにいかんとるうちゃんが。
そう思って、蝶を出そうと手を上げた時


さ「まだ確証が得られたわけじゃない。今突っ込んで行っても場を混乱させるだけだ。まだ我慢しろ」


さとちゃんが唇を動かさないようにして俺に話しかけた。
なんでや、何かあってからだと遅いやろ。

反論しようと口を開いた時、ポンっと頭に誰かの手が乗せられた


莉「まだだよ、まだ我慢して。大丈夫。お兄ちゃんを信じて」


静かな莉犬の声が後ろから聞こえて来る。
そこまで言うのなら、と歯を食いしばってぐっと我慢する。


サ「いやぁ助かったよ、君はなんて名前なんだい?」


ソレを自分の横に立たせて名前を聞くジジイ。


る「るぅと……」


呟くように名乗ったソレに満足げな顔をして頷いた。


サ「るぅとくんか、ありがとねぇ。まず下準備をしたいからここに入ってくれるかい?」


ジジイが黒子に合図をして縦に長い箱を持って来させた。
ちょうど、人1人入れそうなぐらいの大きさの箱。

無表情でコクリと頷いたソレは箱の中に入った。
刹那、ジジイがその箱を懐のナイフでめった刺しにした。


もう我慢の限界だった。


こ「ジェルくん!」


気がつけば俺はころんの声を背後に聞きながらジジイの頬を思いっきり殴りつけてた。

ぎゃあ!とわざとらしい声をあげて倒れ込むそいつを蹴ってどかす。

いくら神子でもあれくらい刺されちゃ動けへん。
早よ回復してやらんと。

急いで箱を開ける。



ジ「…るぅちゃん?」




なんでなんやろ。絶対ここにいるはずやのに。

るぅちゃんはその箱の中にはおらんかった。


茫然自失。今の俺はまさにそれや。
その場で固まっていると、後ろで何かの気配を感じた。

振り向くと団長のジジイが大きな鉤爪を俺に振り下ろすところだった。

え、おれ死ぬんちゃう?早よ避けへんと。
そう思ってもバカなおれの体はその場からピクリとも動かなかった。


あ、終わった。シンプルにそう思ってなす術もなく振り下ろされる鉤爪を見ていた。

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スイートポテト丸 - 緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当さん» ありがとうございます!!なるべく早めに参章入りたいと思ってるのでしばしお待ちください(๑˃̵ᴗ˂̵) 良いお年を! (2021年12月31日 22時) (レス) id: dc85d54b13 (このIDを非表示/違反報告)
スイートポテト丸 - 朱莉@すけふれさん» ありがとうございます!そろそろ莉犬くん編の最終調整に入りますので一月中旬ぐらいから再開予定です!お楽しみに! (2021年12月31日 22時) (レス) id: dc85d54b13 (このIDを非表示/違反報告)
スイートポテト丸 - ごりらさん» ごりらさん!ありがとうございます!!尊敬…!?え、めっちゃ嬉しいです… (2021年12月31日 22時) (レス) id: dc85d54b13 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当(プロフ) - スイートポテト丸さん» 第弐章、完結おめです!!莉犬君の過去編待ってます!!よいお年を(*^-^*) (2021年12月31日 11時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ごりら(プロフ) - とっても面白いです…、。尊敬…。 (2021年12月31日 1時) (レス) @page50 id: 0c5c330aa8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スイートポテト丸 | 作成日時:2021年9月3日 22時

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