漆拾陸話 ページ32
るぅとside
いつのまにか寝ちゃってたみたい。
目がなんとなく腫れぼったい。我ながら相当泣き腫らしてたんだなと驚いた。
ころちゃんに冷やしてもらってたんだけどなぁ。
寝起きなせいか、ぼんやりする頭を右手で押さえながら窓の外を見ると、赤色と浅葱色の粒がひょこひょこ動いているのが見えた。
ここが2階だから粒みたいに見えるけど、莉犬兄ところちゃんかな?何してるんだろう。
よく見てみたら莉犬兄は地面に伏せているみたいだった。
その体制のまま前進してる。ころちゃんはそれに数メートルの間隔を空けてついて行ってる。
え、ほんと何してるの?
あんなの、感覚共有をする気にもなれない。
心なしかころちゃんもドン引きしてるみたいに見える。
そんな2人を眺めてたら部屋のドアがそぉっと開いた。
な「あ、るぅちゃん起きたの。おはよう」
ドアを開けた本人は優しい笑みを浮かべて部屋に入ってきた。
な「とりあえずお水持ってきたよ。あと遠井さんからあいすくりん貰ったから食べな、ちょっと喉腫れてたから冷たいものはおいしいと思うよ」
そう言ったなーくんから水を受け取る。
水を飲んでいる間になーくんはあいすくりんを持ってきてくれた。
僕の大好きなのすとろべりぃ味。なーくんがこの味を頼んだのか、遠井さんが気遣ってこの味にしてくれたのか。
どちらにせよ嬉しい。
冷たいあいすくりんはギスギス痛む喉をひんやりと冷やしてくれる。美味しい。思わず笑みがこぼれ落ちる。
な「美味しい?」
そんな僕を満足げに見守っていたなーくんが柔らかな物腰で尋ねる。大きく首を縦に振ると『それは良かった』と言って笑った。
な「話したくないならそれでいいんだけど、ジェル君と何かあった?」
心配そうな顔でなーくんが聞いてきた。
何かあったと言えばあったのかもしれない。
でも身に覚えがなく、急に避けられるようになった。
ジェル兄、どうしちゃったんでしょう…
る「ジェル兄の考えている事がわからないんです。僕、弟なのに…ジェル兄は何がしたいんでしょう」
ぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出す。
言いたいことも自分の中ではまとめられなくてバラバラな言葉たちをそこらじゅうに散りばめるみたいになーくんに話した。
でもなーくんは、そんな言葉を丁寧に拾い上げて1つの塊にまとめてくれた。
やっぱり僕のお兄ちゃんはすごい人なんですよ。
この人の弟になれて幸せだとつくづく思った。
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スイートポテト丸 - 緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当さん» ありがとうございます!!なるべく早めに参章入りたいと思ってるのでしばしお待ちください(๑˃̵ᴗ˂̵) 良いお年を! (2021年12月31日 22時) (レス) id: dc85d54b13 (このIDを非表示/違反報告)
スイートポテト丸 - 朱莉@すけふれさん» ありがとうございます!そろそろ莉犬くん編の最終調整に入りますので一月中旬ぐらいから再開予定です!お楽しみに! (2021年12月31日 22時) (レス) id: dc85d54b13 (このIDを非表示/違反報告)
スイートポテト丸 - ごりらさん» ごりらさん!ありがとうございます!!尊敬…!?え、めっちゃ嬉しいです… (2021年12月31日 22時) (レス) id: dc85d54b13 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当(プロフ) - スイートポテト丸さん» 第弐章、完結おめです!!莉犬君の過去編待ってます!!よいお年を(*^-^*) (2021年12月31日 11時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ごりら(プロフ) - とっても面白いです…、。尊敬…。 (2021年12月31日 1時) (レス) @page50 id: 0c5c330aa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スイートポテト丸 | 作成日時:2021年9月3日 22時