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バルコニーから夜空を眺める。
あの頃も空を眺めていたきがする。
否。空を見ることくらいしかやることがなかった。
...やれることがなかった。
小さな窓から見ていた空と今見えてる空では大きく違うように見える。
…私はここにいて良いのだろうか？
こんな平和な場所に。
ギィ...と木がきしむ音がする。少しづつ、それはこちらに近づいてくる。
戸が開いた。
「あら、潮...渚さんと呼んで欲しいって言ってたわね。私になにか用かしら。」
「うん。携帯届けにきたんだ。」
「あぁ、忘れてたわ。どうもありがとう。」
「頭の怪我は大丈夫？」
「えぇ。もう痛くも痒くもないわ。」
少年は何かを言おうとして言葉を飲み込んだ。
「どうかしたのかしら？」
「...ぼくの勘違いかもしれないんだけど、Aさん、石がぶつかるの分かってなかった？」
「いいえ？分かってたら避けてるわ。」
「うん、そうだよね。変な事聞いてごめん。」
「謝る必要はないわ。ただ、どうしてそう思ったのかは気になるわね。」
「...携帯でGPSがすぐ確認できたことが出来すぎてるように思ったんだ。」
「それだけ？たまたまよ。偶然。」
「...あと、石をぶつけられた時、Aさんが驚いてる様に見えなくて。」
「ぶつけられた時に気絶しちゃったからそう見えたんじゃないかしら。」
「...。」
「じゃあ逆に聞きたいんだけれど、仮に分かっていたとして、あえてぶつかる理由は？」
「それは...。」
「それにどうやってそれを予想したのか説明できないわ。」
「それはAさんが...いや、なんでもない。」
「私がけしかけたっていいたいのかしら？」
「いや、そうじゃなくて...。」
「そうじゃなくて？」
「えっと...人間じゃない、とか...。」
「え？」
目の前の少年がポツリと言ったことに、少女思わず聞き返しそうになる。いつバレた？きっかけはあったか？
「いや、変なこと言ってごめん！失礼だよね。」
「いえ...意外とそういうこと信じるタイプなんだって驚いただけよ。」
「あはは...。」
まだ確信しているわけでは無さそうだ。ただ、うっすら気がついているのも事実。要注意というところか。
「Aさんは皆と寝ないの？」
「ええ、落ち着けないし。」
それに、邪魔になるし、と呟きそうになる。夜の方がコンディションが良いわけだし。
「そのうち消灯時間になるし、そろそろ戻った方がいいわ。」
「...そうだね、また明日。」
「ええ、おやすみなさい。」
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作者名：夜桜 | 作成日時：2020年10月10日 18時
