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「皆さんと仲良くすれば私を殺す方法や弱点なんかの情報が得られるかもしれませんよ。」
「必要ないわ。その気になれば、正直あなたなんて簡単に殺せるの。あくまであなたは超スピードの怪物。私達にとってはスピードが速いだけなら簡単に対処できるの。それにね...。」
少女はふと、話を辞めてしまおうか考える。
…担任は薄々勘づいているだろう。なら、良いか。
「咲夜はともかく、私はヒトではないの。見た目はヒトだけど。あなたとは逆。あなたは見た目は怪物でも中身はヒトでしょう？」
「…それをどこで？」
少女はククッと笑う。
「その気になればヒトの心くらい読めると言ったらどうする？…まぁ、実際のところは機密情報のセキュリティを突破させてもらったの。早い話、あなたの心臓の場所であったりも把握してる。…それに、E組のあの雰囲気を壊したくない。」
「皆さんは君を仲間外れにすることなんて望んでないと思いますよ。」
「私をヒトだと思ってるからね。」
服を裂き、黒い翼が少女の背に現れる。
「…私は吸血鬼。A・スカーレット。果たして吸血鬼と仲良しこよししたい人間はどれほどいるかしら。それに私もあまりこのことを広めたくないの。」
目の前の担任は絶句している。
「あら。ただの厨二病とも思っていたのかしら。それとも触手を持っているとふんでいたのかしら？」
にやりと微笑む少女の目は紅く光り、口から牙が見える。
見れば見るほど、視覚からの情報がヒトではないことを物語っている。
「何故今日あなたがわざわざ拐われたのか、ようやく分かりました。」
「その言い方だと私がわざと拐われたことを知っていたような言い方ね。」
「カルマくんの話によるとあなたは普段スマホにロックをかけているのに、それが開いた状態で、なおかつGPSのアプリが開かれていた。そんな早業が出来るほど余裕があったにもかかわらず、何故かあなたはさらわれた。何かしら意図があるようにしか思えません。」
「あら、やっぱりやりすぎだったかしら。」
「もうひとつあります。あなたは石を後頭部にぶつけられたそうですが、その傷がすでに癒えているように見えます。」
「その通り。これでも癒えきらないようゆっくりにしたんだけど。…そろそろ戻って頂けるかしら。」
足音が近づいてきている。この会話はお互い聞かれたくはないだろう。
少女は羽をしまう。いつの間にか目も牙も無くなっていた。
「分かりました。おやすみなさいAさん。」
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作者名：夜桜 | 作成日時：2020年10月10日 18時
