逆先夏目くんに愛されたい＊逆先夏目＊ (ページ1)

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夏目くんにキスされたいページ1

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花弁舞った春のガーデンスペース。

ふわりと甘い花の香りが私の鼻を刺激した。のんびり、と過ごしてしまいがちなこの季節、今も少し油断していた。これからTrickstarのプロデュースがあるというのにのんびりしてしまった。慌ててレッスン室へと足を向けると綺麗な赤髪の青年がいた。

「 Good Night...♪今日も子猫ちゃんは元気そうだネ」

すっと耳に入った優しい声。昼間なのにGood Night、なんて言うのはあなたしかいないのだ。少し変わった彼の語尾は聞き取りづらいけれど彼を逆先夏目、と認識する特徴の一つだ。

「急いでるノ？」

「 ...なんでわかるの...? 」

「慌ててるのが顔に出てるヨ。慌てすぎると綻びが生じるならネ、焦らずゆっくり、だヨ」

ぱちりと私にウィンクを一つ向けて彼はそう言う。ちょっとどきりとしつつも彼なりに心配してくれたことになんだか嬉しさを感じた。

好きな人、恋人にそう思われて嬉しさを感じない人なんていないだろう。緩んだ唇をそっと手で抑えてありがとう、と彼に伝えた。

「どういたしましテ...♪プロデュース頑張ってネ。あっ、そうダ」

「ん？どうかした...?...んわっ...!! 」

ぎゅ、って手首を引かれてあなたの腕の中へと包まれた。いくら人通りの少ないガーデンスペースでも恥ずかしさや、人目を気にしてしまうのは事実だ。
なにより夏目くんの温もりが直に伝わってきてほっ、と頬が熱くなっていくのが自分でもわかった。琥珀色に私が映った瞬間、彼に捕らわれてしまったような気がした。

「な、なつめ...くっ... 」

「目、瞑って」

歪んでないじゃない...。その言葉はいつもよりもよく耳の中へと入り込み、浸透する。思わずぎゅ、っと瞳を閉じた。

「いい子...♪ 」

そう、そのまま...と囁く彼の言う通りに。目を瞑っているとなにをされるか全く分からなくて心拍数が上がっちゃって、彼が私の耳に髪をかけると肩がピクリと僅かに震えた。そのまま指は私の頬へと行き渡り、彼の顔が段々と近くなっていく感覚がした。

＿＿あっ、重なった。

「な、な...つめ...く」

触れ合ったのだ、私の唇と彼の唇が。頭がぐるぐるとして思わず周りをきょろきょろと見渡した。それを見た夏目くんはフフフ、って悪戯っぽく笑う。

「子猫ちゃんが頑張れるおまじないだヨ♪頑張ってネ」

「お、おまじない...? 」

おまじない、なのだろうか...？唇には未だに先ほどの感覚が残っていて再び胸がきゅん、と高鳴った。
すれ違いざまに見えたのは、夏目くんの紅く染まった頬だった。

*