赤く、アツい、狂った夜を

CRAZY 15 ページ15

「なに、今日機嫌悪いの？」


普通なのか…と思って私もご飯を食べるのに集中しようとしたら、うらたさんの声。それはキッチンに居る彼へと向けられているのだと、すぐに分かった。

「…別に」

「だったら」

「はいはい、うらたんもそこまでな、坂田の言う通り今日は色々あるんやし」


坂田さんの相変わらずぶっきらぼうな返答にうらたさんは食い下がったけど、センラさんがやんわりと止めた。うらたさんは不服そうに坂田さんを見ていたけど、坂田さんがリビングを出て行き、なんとも言えない気不味い空気となった。

そういえば、色々ってなんだろう。もしかしてどこかいくのかな。だとしたら、私、この家に1人？


「ごめんなあ、Aちゃん、坂田いつもはもうちょっと元気なんやけど…」


もっ、もっと咀嚼するセンラさんは、申し訳なさそうに頭を下げた。それに私も頭を下げる。


「いえ、大丈夫です。その日の気分ってあると思うので…」

「ありがとうなあ、俺たちの中では1番気分屋なもんで」

「…そうなんですか？」


もう一度センラさんは頭を下げてから、気になることを口にした。気分屋。あの坂田さんが。てっきり常にあんな感じの態度かと思ってたけど…なんか今日は元気ないみたいだし、まあ、そうなのかな。


「…あの、ちょっと気になるんですが」


我ながらこんな質問をしてどうするとは思うけど、好奇心には負ける。いくら私の意思でここにいるわけではないとしても、どれくらいかはわからないけど一緒に暮らすんだ。学校や会社で周りの人たちと時を共にするのと同じ！


「みなさんの名前の自己紹介はしてもらったんですけど、性格とか聞いてないなって思って」

「…性格」


言ってから、意外と私肝座ってるな、と感心した後に、志麻さんの呟きにはっと我に帰る。なぜほんとに口にした。馬鹿なのか私。


「いっ、あ、あの別にちょっと気になっただけでっ…」


撤回します…と言い終わる前に、センラさんの「それいいねえ」という声にセンラさんを見つめる。あれ、聞き間違いでなければ、この人いいって言った？


「教えますよ、みんなのこと！」


にこやかにセンラさんは言ってくれたけど、うらたさんがものすごく嫌そうな顔をしていたので私が震えたのは言わずもがな。

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