伍話. ページ6
「ねェねェ聞いて
「…また余計なことに首を突っ込んだんじゃないだろうな」
とある日の夜。
2人の鬼が、仲睦まじく(?)話していた。
そう。弦楽と蟒蛇である。
「あのねー、さっきちょっと鬼狩りに会ったんだ!3人組の」
「鬼狩り?喰ったのか?」
「んーん、面白そうな子達だから残しといた!
…あ、でも1人気絶させちゃったかなァ」
嬉嬉として話す弦楽を他所に、蟒蛇はまたか…と言うような目で見ながらも話を聞いている。
「あっ、それでねェ。あれだよ、鬼舞辻さんが言ってた『耳飾りの鬼狩り』!その子が居てね、なんか下弦の…伍?と、上弦の鬼を倒したんだって〜」
「……見逃して良いのか、鬼舞辻様が狙えと言ってるんだぞ」
あ…とした表情を浮かべた弦楽。
そんなこと思ってもいないだろう。
弦楽は一度鬼舞辻無惨に殺されかけたことがある。
コイツは鬼舞辻のお気に入りの本を燃やしてしまった前科持ち。一応謝りはしたのだが、その謝り方があまりにも腹立たしい態度だったので鬼舞辻の逆鱗に触れ、見事大激怒。
仕舞いには血鬼術まで使ってくる始末。
その大騒動に十二鬼月オールスターズが揃って鬼舞辻を止めた。
こんな大人数に被害が及んだにも関わらず、当の逆鱗に触れた本人は飄々とし、ごめんなさいと一言だけ言って呑気に散歩しに行った。
その時、初めて全員の脳内は一致した。
こいつは曲者である、と。
1番の苦労人は最も付き合いの長い蟒蛇である。
誰にも伝えずに外出しては迷子になった弦楽を迎えに行ったり、一度お遊びで鬼狩りに捕まった時に助けに行かされたり、弦楽の身勝手によって鬼舞辻が不機嫌になった時はいつも蟒蛇が全力で頭を下げたり。
これまでも数え切れないほど振り回された。
そしてなんとも言えないのが、弦楽の強さである。
こいつは頭はあまり切れないが、戦闘能力に関しては馬鹿ほど高い。
本気を出せば鬼舞辻とも互角に渡り合えるだろう。
それを本人は理解しているからこそ、あの鬼の中の鬼の鬼舞辻無惨に対してこのような仕業をなせるのだろう。
しみじみと蟒蛇は思う。
あー………こいつに付き合い切れるのは俺だけどろうな、と。
「…!うーわーばーみ!!
僕の話聞いてるかい!?ぼーっとして!」
「聞いてなかった」
「なんでさーー!!」
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作者名:はぐき | 作成日時:2019年8月18日 23時