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「まぁ、なんやねん、これ」


Aが、素っ頓狂な声を上げた。
どうやら俺の部屋を片付けようとして変な抽斗を開けてしまったらしい。
その手には、小さな手帳が握られていた。


「……読んだんか」
「読んでもうた」


いたずらっぽい笑みを浮かべて、彼女は笑った。


「信介さんがあたくしとの恋愛をこんな風に手記にしとるなんて、今の今まで知らんかったわよ」


結局俺は医者になって、彼女の実家の近くに家を建てた。
彼女はそこから実家の喫茶店に通いながら、女給を続けている。


「……ねぇお客さんにこの話してええ? うちの旦那ってば、あたくしとのことを全部手記に書いてたって。まるで小説みたいに!」

「恥ずかしいからやめんか!」

「良いじゃないですか、ね?」



――いたずらっぽく笑う彼女を、きっと俺は幸せにできているだろう。



過去の俺――手帳の中の俺に、心の中で『有難う』と告げる。

そして、まだきゃいきゃいと騒ぐ彼女にコラと一つキスをすれば、彼女は顔を真っ赤にして黙り込んだ。



「……なんかあの頃思い出してるからさぁ、ちゅーでも照れるわ、信介さんのあほ」







fin.

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シノブ(プロフ) - ココアこなさん» うわあああありがとうございます!方言や世界観にはとても苦戦したので褒めていただけて嬉しいです……!ありがとうございます! (2018年5月8日 21時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ココアこな(プロフ) - 全体的に北さんの雰囲気に合った世界観、時代背景で、夢主との幸せを願いたくなる様な素敵な作品でした!あっ上からでスミマセン(´・ω・`) (2018年5月6日 18時) (レス) id: aa502ae987 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シノブ | 作者ホームページ:http://twitter.com/tam_shino  
作成日時:2018年5月5日 23時

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