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彼女の結婚はもう確定事項なのだろうか。
彼女を思うこの気持ちはずっと胸にとどめておかないといけないのだろうか。
俺の頭は、ずっとこんなことでいっぱいで、勉強も手につきません。
――どうにかして彼女を手に入れたい。
ただその一心でした。
昨日の今日で、俺はまた店を訪ね、彼女を呼びました。
「よかった、信介さんもう来てくださらないかと」
ほっとしたように笑う彼女の左手を取って、俺は言いました。
「なぁA、『言葉には魂が宿る』んやろ？」
「え、えぇ……そうですけど……」
戸惑う彼女の目をまっすぐに見て、言葉を紡ぎます。魂よ宿れと祈って。
「――俺からの言霊や。『お前は縁談を断って、将来医者になった俺と結婚する』」
「……っ、」
空いていた右手で、彼女は顔を覆いました。そこからは嗚咽が漏れてきました。
我ながらださい告白であったと思います。
駆け落ちなんていう勇気もなければ、将来なんて曖昧な言葉を使い、浪漫の欠片もない彼女の職場で。しかも、かなり突然。生き急ぐのもいいところでした。
でも、彼女をこの手に入れられれば、そんなことはどうでもよかったのです。
「信介さん……あたくしは、信じていいんですか」
「お前が信じなくてどうする、『言葉には魂が宿るんや』」
あたくしの口癖、と嗚咽の間に漏らした彼女の手をそっと離して、うつむいた彼女のその髪に、買ったリボンをつけました。
涙目の彼女を向き直って、もう一度言いました。
「なぁA、俺、お前が好きやねん……俺と結婚してくれへんか」
「……うん、好きや、信介さん」
周りの客なんて見えていなかったけれど、誰かが彼女の父親を呼んできたようでした。
この状況と泣きじゃくるAを見て、すべてを察したように俺に言いました。
「信介はんや、……医者になれなくても、言い訳は聞かないからな」
「……っ、有難う御座います」
この時、人生で一番幸せでした。
と同時に、この手で、彼女を幸せにしなければならないと思いました。
そりゃあ、当たり前ですがね。
なんせプロポーズの言葉に魂を込めたのですから。≫
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シノブ(プロフ) - ココアこなさん» うわあああありがとうございます！方言や世界観にはとても苦戦したので褒めていただけて嬉しいです……！ありがとうございます！ (2018年5月8日 21時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ココアこな(プロフ) - 全体的に北さんの雰囲気に合った世界観、時代背景で、夢主との幸せを願いたくなる様な素敵な作品でした！あっ上からでスミマセン(´・ω・`) (2018年5月6日 18時) (レス) id: aa502ae987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シノブ | 作者ホームページ：http://twitter.com/tam_shino
作成日時：2018年5月5日 23時
