【１期】弱虫姫★番外編【弱虫ペダル】

【文化祭編】キャットハント ２１ ページ28

とうとう文化祭最後の日、私はとても困惑している。

朝、登校して部室で猫耳衣装に着替えて、いつも通り教室のみんなと今日も頑張るぞーって気合いを入れて、文化祭が始まった。


２日間で学んだことは、少しずつ教室から移動して遠のいていくと、終わった後に長い距離をかけて帰ってこなくてはいけなくて疲れてしまうということ。

だから今日は校門付近の１番遠いところから徐々に教室に近づくことにしたんだ。



それがいけなかったのかもしれない。


文化祭の１日目と２日目はもちろん生徒の家族以外の人も来るけど、ほとんどが生徒の家族が多く来賓する。

だけど３日目は知り合いや他校の友達といった若い人たちが多かったのだ。


そして忘れかけてはいるけどここは男子校。


他の高校の女子生徒が出会いを求めて総北高校の文化祭にやってくる。

手嶋先輩も女子狙いの出し物が去年は多かったと言っていたじゃないか。



最初は仮装をして高校の文化祭に来ている小さな子供だと勘違いされた私は、高校生だと思われる女の子２人に可愛い可愛いと持て囃され囲まれた。

勘違いされて『一緒に回る？それともパパかママ探す？』と言われた私は、キャットハント中だからと思わずここの生徒だと言ってしまったのがいけなかった。


女子高生の心情というものはよく分からない。


さっきまで子供可愛がりだった女の子２人は、私が高校生で、しかも男子校に通っていると知ると、突然態度が急変。

今は敵意むき出しで手を掴まれて引き摺られて校舎裏に連れてこられた。



そして現在、冒頭の『私はとても困惑している』状態。

元々私はこの容姿で人からは好かれない。

歳が近ければ近いほど嫌われる傾向にあるのは十分理解していたんだ。




「あの･･･。私、さっきの場所から動いちゃいけないのです･･･」

「は？笑えるんだけど」

「何なの？そんな格好して学校のアイドルでも気取ってるつもり？」

「い、いえ。そういう、つもりでは･･･」




私が何か発言すると、更に苛立った様子で強い言葉が返される。

ああ･･･この感覚は常に中学まで感じていた恐怖だ。


経験上、この場所は良くない･･･。

ここは校舎裏で人通りも無く、更にすぐ視界に入ってくるのは体育で使う用具の入った倉庫。


普段鍵がかかっているけど文化祭期間は生徒たちが使えるように解放され、そして引き戸タイプの扉は無情にも少し開いていて『ここ開いてますよー』と主張していた。

詰んだ･･･。

【文化祭編】キャットハント ２２→←【文化祭編】キャットハント ２０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す