泣いた赤鬼、笑った青鬼。 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:7,410 hit

それでも隣に。ページ4

エースは、渡さない。

それが私の最期の言葉だった。

____

エースは自分の父親の名前を友達に言った。

責めるべきことではない。

仲の良くなった友達にはなんでも言いたくなるのが子どもだ。

あの年で海賊王の本名なんて知らないだろうし、海賊王が世間でどんな扱いを受けているかなんて想像もしていなかっただろう。

むしろ父親の名前をフルで言えたことを褒めるべきか。

とにかく、エースは自分の親が海賊王であることをこの島に知らしめてしまった。

____

『エース、隠れんぼをしよう』

そう言った姉貴は俺を見つけずに死んだ。

村人に囲まれて体には傷が多くあったらしい。

俺を庇ったことで俺を見つけられなかった島民。

恨みでもこめたのだろう、あいつらは姉貴が死んでからも暴力をふるい続け火傷までおわせた。

死体にむかって延々と。

気が狂っていたのだろう。

姉貴は父親のことがバレたと分かった瞬間迅速に動いた。

ジジイに連絡、隠れんぼのフリをして元凶の俺を逃がした。

島の決して多いとは言えない集落に油をかけ火を放った。

真実を知った彼らを逃がさないよう、丁寧に丁寧に。

逃げ道のなくなったヤツらはその捌け口を全部姉貴にぶつけ、姉貴は死んで俺は生きた。

この罪はどこへ行くのだろう。