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『無惨様って一体何者なんです?あ、鬼ってことは知ってます佐々木です』
「私に興味があるのか?……教えないがな」
『中々に意地悪ですね、無惨様も。まあ、誰にでも触れられたくないことはあるでしょうし、佐々木はそれで構いませんが』
佐々木が笑う。
それを無言で見つめていた無惨が、佐々木の頬を手で包んだ。
────紅い目。
いつの日か、家族が鬼に食べられていた時に見た血のような、真っ赤な瞳。
この人も鬼であるならば、当然憎まなければいけないのだけれど、佐々木にはそれができない。
『?無惨様?』
「お前は、私が怖いか?鬼と言うことを知って、どう思ったのだ。お前の家族を喰らった鬼と同類だと知った時、何をしようと思ったのだ?」
『え、何で佐々木の家族のこと…』
佐々木家は普通の家だった。
特に変哲もない、普通の代表のような家。
その一家が鬼に喰われたことも、当事者である佐々木A以外、知らない筈なのだ。
「私が、お前の家族を喰らった鬼を作り出した者だとすれば、お前はどうする?」
『……佐々木は』
佐々木の唇が、真一文字に結ばれた。
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作者ホームページ:なし 作成日時:2020年11月3日 12時