俺の声だけ聞いて ページ3
やっばい。
遊馬くんとキスしちゃったよ。
あれから2日経った。
"あれ"とは、
きょもくんのことだったり、
遊馬くんとのことだったり。
まぁ色々あった日だよ。察してよ。
とぼとぼと放心状態で
家に帰ってきた私を待っていたのは、
リビングでゲームをしていた慎太郎と廿楽。
廿楽はいつも通り「おかえり」とだけ言うと
またすぐにゲームに集中し始めたけど、
慎太郎は私の変化にすぐに気付いたみたいで、
何かあったのか、大丈夫か、
と小声で訊いてくれた。
持つべきは幼馴染だなとマジで思ったよね。
とりあえず場所を変えて全部話した。
きょもくんは悪くないこと、
あの女がムカついたことを。
遊馬くんとのことは伏せて。
私の話を聞いた慎太郎は血相を変えて、
ー俺ちょっと出掛けてくる
と言い、出ていってから会っていない。
そして今日、
遊馬くんとどんな顔して会えば
良いんだろうと思いながら
頭をもんもんとさせている私を見て、
廿楽は容赦無く「晩御飯は？」と聞いてきた。
お前本当はモテないだろ。
まぁ悩んでても仕方無いから、
廿楽に「行ってきます」とだけ言って家を出た。
気晴らしにいつも行くスーパーじゃなく、
少し遠い大型の方に行くと
卵が安売りされていてちょっと得した気分。
今日はオムライスにでもしようか。
そう思いながら帰っていると、
道の端で寄り添うカップルが目に入る。
A『馨くん…。ごめんね。』
馨『……良いよ。良いんだよ。……駄目だ僕。こんな時に、僕までAを困らせてる。』
結局、私は「ごめん」としか言えなかった。
馨くんが今でも私のことを
想ってくれていたことに気付きもしなかったこと、
気持ちに応えられない罪悪感から、
それだけ言って、逃げてしまった。
ジーンズのポケットから
スマホを取り出して、連絡先一覧を開く。
か行の一番上に出てくるのは
やっぱり「きょもくん」で。
A「……やっぱり、言った方が良いよなぁ。」
相手が誰であろうと、
私はきょもくんと同じことをした。
言ってくれなかったことに悲しみ、
傷付いているのに、
自分もきょもくんに伝えないのは変だ。
でも、いざその名前を見ると、
一押しが出来ない。
この前の別れ方が別れ方だったし、
今電話しても、上手く話せないと思う。
私はまた通話ボタンを押すことなく
再びポケットに入れる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3360人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し97585号(プロフ) - そうなんですね！ご丁寧にありがとう御座います🥺楽しみにしています♡ (2022年9月25日 16時) (
レス) id: e59e44e22b (このIDを非表示/違反報告)
しゃも(プロフ) - 返信ありがとうございます。わかりました。楽しみに待ってます、！ (2022年9月25日 14時) (レス) id: 9144ae481b (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - Shionaさん» そうなんですね😌 丁寧な説明ありがとうございます。お話楽しみにしときます！ (2022年9月25日 14時) (レス) id: 8204dd5a95 (このIDを非表示/違反報告)
Shiona(プロフ) - まおさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございます。続編は準備が出来次第全体公開に致しますのでもう少々お待ち頂けると幸いですm(*_ _)m (2022年9月25日 12時) (レス) id: 146bf73b62 (このIDを非表示/違反報告)
Shiona(プロフ) - ひなさん» そう言って頂けてとても嬉しいです。続編は準備が出来次第全体公開に致しますのでもう少々お待ち頂けると幸いです。m(*_ _)m (2022年9月25日 12時) (レス) id: 146bf73b62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shiona
| 作成日時：2022年8月24日 0時
