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「次はヌナが持ってよ。俺も写真撮る」
手の中にある小さな植木鉢をヌナの目の前に差し出すと、目を丸くする彼女。
そういえば、ヘチャニが「ヌナの秘蔵コレクション！」と自慢げに話していたのを思い出した。寝顔とか、爆笑している顔とか。
その時はそうなんだ、と素っ気なく言ったけど内心はめちゃくちゃ羨ましくてどうにか一緒に写真撮れないかなあと思っていたところにこんなチャンスが回ってくるとは。
「え、なんで私？ロンジュンの誕生日だけど？」
「いいの！はい！」
「でも、」
「はあ、ヌナって可愛い弟の誕生日のお願い事を聞けないほど分からず屋なの？」
少し強引だけど、今日は可愛い弟の誕生日という特権を乱用しようと思う。
今だってほら、
「ふふ、わかったわかった。」
俺のめんどくさいわがままに笑って応じてくれるヌナ。
カシャリと自分のスマホでヌナを撮ると、自分のフォルダにヌナがいる事に嬉しさが込み上げてまた口元が緩む。
「満足しましたか？笑」
「うん、満足。」
わがままな弟だなあ、笑
そう言って頭をくしゃりと撫でられる。それが心地よくて、もっと撫でてと言わんばかりに頭を差し出すと、少し乱雑だけど気持ちがいい力加減で両手で撫でられる。
「ロンジュナ、そろそろ戻らなくて大丈夫？」
「あぁ、…」
ヌナの声にスマホを見ると、練習時間開始が近づいていた。
カトクにもジェノから「そろそろ始まるよー」とメッセージが来ていて、一気に現実に引き戻される。
「戻らなきゃ」
「うん、頑張ってね。」
「ヌナありがとう、大切にするね。」
植木鉢を少し掲げてお礼を言うと、またいつもの笑顔で
「誕生日おめでとう、ロンジュン」
さっきの写真、しばらくホーム画面にしようかな。
3/23 誕生花 スイートアリッサム
【美しさに優る価値】
ニワゼキショウ
【豊かな感情】
HAPPY BIRTHDAY RENJUN.
世界を照らす貴方、いつまでも幸せでありますように
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作者名：久遠 | 作成日時：2021年9月23日 10時
