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YT.
夢を見た。
練習室の大きな鏡の前で楽しそうに踊ってる俺。
しんどい毎日だったけど、どうしてもあのキラキラしたステージに立ちたくて。
何が何でも普通の人が見たことのないような美しい景色を見たくて、がむしゃらに毎日体を動かした。
喉が枯れるくらい歌って、手足がもげるくらい踊って周りに置いていかれないように食らいついた。
_______隣にいるのは…？
そんなの見なくてもわかってる。
屈託のない笑顔と、耳に馴染む声。聞くだけで、見るだけで自然と笑顔になってしまうそいつ。
「………ん、」
目が覚めると視界には見慣れた天井。
隣を見ると、ルームメイトのジェヒョンはまだ夢の中で空を飛んでいるようだ。
……今何時だ。
なんとなく時間を見る気も起きなくて体を起こす。
昨日は遅かったから本当はもう少し寝ていたいけど、さっき見た夢の内容が頭から離れなくて、眠る気にもならない。
起きるか。
ベッドから降りてまだ覚めてない頭で向かったのはクローゼット。
痛っ、イヤホン踏んだ。
部屋も含めて掃除しなきゃなあ、と思いながらガサゴソとお目当ての物を探す。
〈お、あったあった〉
中から出て来たのは少し古びたビデオカメラ。
被っている埃を払う。
見るのはずいぶん久しぶりだな、なんて考えながら部屋から出た。
２月の朝はまだまだ肌を突き刺すような寒さで、上にセーターを羽織りリビングへ向かう。
まだ流石にみんな起きてないよなあこの時間だし。
リビングのテレビに持ってきたビデオカメラを繋いで、懐かしい映像を流そうとソファに座るとリビングのドアがガチャリを音を立てた。
「あれ、ユタヒョン。おはよう」
まん丸のメガネにぼさぼさの髪。
普段はあんなにかっこよくて可愛いのにオフのマークがもっともっと可愛く見えるのは俺に何かフィルターでもかかってるんだろうか。
「早いねヒョン、今日なんか予定でもあった？」
「いや、ないけど」
.
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作者名：久遠 | 作成日時：2021年9月23日 10時
