ｿﾉ52 ページ17
｢あのさ、｣
霧野が突然掴んでいた手を離す。
暖かさがどんどん消えて、なんか名残惜しくて少し悲しい気持ち。
霧野はそれを知ってか知らずか、とても優しい顔をして話しだす。
｢みんなはお前の事を凄く大切に思ってる。だからずっとそばにいるし、氷室からお前を守ろうとも本気で思ってる。お前とって、それは迷惑か？｣
｢そ、そんなこと！｣
思ってるわけない。
首を思いっきり横に振る。
すると、霧野はもっと優しい顔になって口を開いた。
｢なら、沢山迷惑かけろ。｣
霧野が私の頭に手を置いてわしゃわしゃと動かす。
そんなことでも、体はすぐ反応して固まってしまう。
｢ちょ……｣
｢沢山迷惑かけろ、それでも慕ってくれるのが仲間だ。だから、お前が黙って笑ってる方が俺たちにとっては悲しい。わかるな？｣
｢…うん。｣
｢ま、そんなすぐに全員を信じろなんて言わないけど、せめて瀬戸や山菜位は心の底から信用しとけ。あの二人は絶対裏切らない。俺が保証する。｣
ま、俺もだけど。と少しからかうような笑いを見せる霧野。
その優しい言葉に、
今まで必死にこらえてきた涙がらひとつふたつと溢れはじめた。
霧野はそれを笑うことなく、頭を撫でてくれている。
それだけで、安心と安堵と色んな感情で心が満たされた。
でも、涙が止まる事はなく、ほとんど号泣状態。
｢…私には、そんな事される価値なんて、ないと思ってた。
どうせみんな口だけだって、ひねくれてて、皆の気持ちを受け取ってた筈なのに、実際は全然そんなこと、なく、て。｣
嗚咽が邪魔してうまく喋れなくなってきた。
過呼吸状態になりながらも、これだけは言いたいと必死に声を出す。
｢こんな自分が嫌だって、ずっと、思ってた。
でも、やっぱり皆に会えて、良かった、て今は思える。
そして、霧野、ほんとにありが、と…｣
｢あぁ。｣
…丁度、雨が降り出した。
霧雨と言えるくらい柔らかな雨。
段々気温が低くなる中で、頭に置かれた霧野の手だけがとても暖かい。
…これが、幸せって奴、か。
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東堂 莉愛 - 更新がんばー！こんな 小説かけるなんて！ 羨ましいー！ 私も小説書いてるんでーす！ (2015年6月7日 10時) (
レス) id: d454bba793 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 私の求めてた小説！！書いてくれてありがとうございます(*^^*)更新待ってます 無理せず頑張ってください！ (2015年5月13日 22時) (レス) id: dc1c39bc0d (このIDを非表示/違反報告)
ハノン(プロフ) - 続きが楽しみです！更新頑張ってください☆ (2015年5月4日 19時) (レス) id: dbb9de5c35 (このIDを非表示/違反報告)
ななか - 面白いですね！これからも応援しています！がんばってください (2014年12月23日 14時) (レス) id: 7bcb8456c0 (このIDを非表示/違反報告)
蘭羽 - 霧野かすごいかっこいいです！！更新頑張ってください！応援してます！更新待ってます！ (2014年10月23日 5時) (レス) id: 7d4569a410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹乃 | 作成日時：2014年8月27日 23時
