そっと触れて壊さないように ページ6
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あまりに白熱したゲームに、ふと時計を見たらド深夜を差している針に、このままでは明日の撮影に寝坊しそうだとキラキラ輝く画面を消して眠りにつこうとした。
その時聞こえたコンコンというドアのノック音を聞いて、今日は負けが続いたし騒ぎすぎたかなと不安な気持ちになりつつゆっくりと扉を開くとそこにはもこもこしたパジャマに身を包むAがいた。
「あのね、ねむれなくて、」
「じゃあ一緒に寝る？」
いつにもましてふわふわとした喋り方に肩を震わすAを抱き寄せた。みんなの部屋覗いたんだけど、誰も起きてなかったから。起きててよかった。ふわりとそういう彼女を狭いベッドに招き入れた。
紅一点という形は誰もが受け入れられるものではなくて。誰よりも経験値があって頼りにされているのに13にすらも12個のダイヤモンドにも含まれなかった紅一点。Aはまるでそれをわかっているからなのか、女らしさをすべて捨てて誰よりもかっこよくいようとする。
もこもこのパジャマは唯一の意思なんだと思う。本当はか弱くて、泣き虫で、不器用な女の子だったのに、アイドルというタイトルがついた途端にすべてをひっくり返したように笑う。
「？」
「いいにおいする」
「何にもしてないよ」
「……このにおいすき」
「…………シャンプーかな」
大人二人が寝るにはちょっぴり狭いベッドでAを羽交い締めにすると、ぎゅっと抱きついてクンクンしていたかと思えばそのまま首筋にスーーっという寝息が当たる。ド正面から向き合っている体は抱き枕のように腰までしっかりと足で組まれている。
目を伏せて下を向くともこもこの隙間にちょうど見えてしまった生身のAに、あぁ身体によくないな、と思いながら無理矢理眠りについた。
「……んぅ、」
「A起きた？」
少しだけ早く覚めた眼を擦っていると、ふわりと睫毛の隙間から視線が合った。どれだけ言い聞かせてもちょうどAのジャストポイントに向かって伸びてしまっている身体の中心にふわりと笑ったAが言った。
「お風呂上がったら部屋おいでよ」
「………………言ったね？」
下で眠る弟なんて気にも留めずにちゅ、と口付けて離れると、ん、まってるからはやくきてね、と出ていった。あぁ、だから嫌なんだ。
Aはいつも誰よりもかっこよくて、誰よりも可愛いから。慌ててシャワールームへ向かった。
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初々し君へ愛のような慈悲のような**→←願っても届かないなら奪い去るから**
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