Ｊ (ページ5)

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「帰るの？」
「お持ち帰り見つけるのはや！」
「さっすが！」

と数人の男の人たちが声をかけてる

彼はその人たちに軽く手をふり

歩き出した。

まって。

私のせいで迷惑をかけてると気づき

「待っております。」と私が慌てていると

「落ちるからじっとしてて」と言われたけど

じっとなんかしてられるかと思い

「お友達いるのにわたしのせいで
こんな事悪すぎます。私は大丈夫ですから」

と彼に伝えると

「いいよ。いつでも会えるし
俺がしたくてしてんだから静かにしてて」

と彼は言って私をおんぶしたまま

クラブの外に出た。

外に出ると路地裏のベンチに私はおろされて

彼がこっちをむいた

暗い店内から路地裏の街灯に照らされる

彼の顔はさっきとはまた違う雰囲気に感じた。

「いい靴はいてんね、高いでしょ」

と私のヒールを見ながら彼がいう

元彼と付き合ってた時にお洒落したくて

奮発して買った靴。

今となればいらないけど

「もういらない」

とわたしがいうと

「もったいねえ。なら俺がもらう」

と彼が言った。

え？なに売るの？

それとも誰かにあげんの？

この人なに考えてるか分からない

そんな事を考えてると

「靴はなんも悪くないよ。」

と彼がわたしを見ながら言ってきた

初めて重なり合った目。

吸い込まれそうな瞳から目をそらせない

「え、、いや、その、「なんかあったんでしょ」

彼にさえぎられる言葉。

なんかあった。

彼に言われたその一言に私の目から涙がこぼれた。

ずっと我慢してた

一本の線がぷつんと切れた音がした。