君の色をもっと。

＊一斤染 <いっこんぞめ> ページ28

Izawa side>＞


『今日はもう解散です！！！伊沢さんのばかっ！！！！！』



キッチンから帰ってきたかと思いきや、顔を真っ赤にさせながらこんなことを言ってきた。



彼女はいそいそと空き缶などの片付けを始める。


ほんと、可愛すぎだろ、まじで……



『え？なに！』



おっと、思考が漏れてしまってたみたいだ。()
幸い、あまり聞こえてはないらしい。


Aちゃんの声は、相変わらず少し怒っているというか、興奮してるというか。


そんな所にもキュンとくるけど、さすがにもういじるのはやめておこうと思って、


「ホントにごめんって、

……また一緒に飲んでよ」

と言った。



するとAちゃんは頬を片方膨らませながら、ジト目でこっちを見てくる。


『伊沢さん意地悪するからなぁ』


え、ほんとに怒らせちゃった？

これは何かお詫びをせねば、と思い咄嗟に思いついたことを言う。


「分かった、じゃあ、今度は外に飲みに行こうよ。

奢るから。ね？」



まぁ外に飲みに行くんだったらもちろん俺が出すつもりではいたけど、こうやって口に出すことで少しでも誠意が伝わればいいなと思った。


『……もう一声』


どうやら相当にまずってしまってたらしい。


「じゃあお肉食べに行こ。叙々苑とか」



叙々苑と聞いた途端、パァと顔が明るくなる。現金な子だな。笑


『……まぁ伊沢さんがどうしてもっていうなら！いいですけど！』


怒ってるのか怒ってないのかよくわからない言葉を返してくる。子供みたいで、少しまた笑いそうになってしまう。


まぁでも表情を見るに、機嫌はだいぶ治ったようだ。


「じゃ、今週の水曜の夜とかは？空いてる？」

君はえーっと、と言いながら空を仰ぐ

『すいよう……

はい、大丈夫です。』

「じゃ、決定ね。

……今日はご馳走様。楽しかったよ。

じゃ、また水曜。………ふふ、」




次の約束まで出来てしまった、と浮かれていたら、さっきの彼女の可愛い顔がフラッシュバックしてまた軽く吹き出してしまう。


『いーざーわーさん？？？』

「ごめんごめん！」





……あぁ、可愛すぎるんだよ。




俺だってほんとにしたかったけど。









酒の勢いで、なんて

嫌じゃないか。

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