笑顔に咲く

#17.5 ページ21

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恵子「可愛い可愛いAちゃんですねぇ」

「可愛い可愛い恵子ちゃんだぁ」





満足したら衣装さんへ返却するという約束をしたAは、本来のリボンの持ち主である笠原桃菜と加藤心とは別れ、プリキュアとして街の平和を守るべくパトロールをしていた。


今にもスキップをはじめそうな浮かれた足取り、頭には大きな２つのリボン。周囲の練習生の視線はこれでもかというほどに集まっていたが、まだまだ出会ってほんの僅か。Aへと話しかける者はいなかった。


まあ、例外もいるようであるが。






可愛らしくルンルンと歩いているAの姿を目撃したのは、清水恵子がインタビューを終えてすぐのこと。レベル分けテストの時からAに目をつけていた恵子は、迷うことなく声をかけたのであった。


恵子「そのリボン、さてはrebloomのおふたりから拝借してきましたな？」

「えへ、ばれた？」

恵子「ちょっとこれもつけていい？」

「なんで？」


有無を言わさず私の背後へと回った恵子ちゃん。その手にはあのハチマキが。そう、あの必勝と書かれた例のハチマキである。それを私につけたいらしい。なんで？






「あの、私のコンセプトはあくまでプリキュアでしてね。プリキュアの衣装に墨文字とハチマキはちょっと前例がないというか？」

恵子「まあまあまあ、任せてくださいよ」

「なにを？」



結局されるがままな私のおでこには、必勝と書かれたハチマキが巻かれていた。なんで？






恵子「はい！プリキュアの決め台詞をどうぞ！」

そしてこの無茶ぶりである。


「受験生に必勝を！キュアAちゃん！」

またしてもくるんと華麗なターンを決めて、真面目ちゃんを彷彿とさせる眼鏡をくいっと持ち上げるようなポーズをしてみる。


プリキュアであるAAに不可能なことなんてないので、ちゃんとやりますとも。






楓夏「私のうさちゃんもあげる〜」

「それはほしいっ」

恵子「ぅおいっ」



恵子とAのやり取りを見ていた楓夏からはうさぎのぬいぐるみ付のリュックサックを譲り受け、さらに装備を増やしたAであった。



その後、練習生たちの間では「AAに貢ぎ物をすると可愛いを浴びることが出来る」という噂が出回っていたとか。




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