4話 依頼 ページ4
「ジンが殺し損ねた女……それが、シェリーの実の姉。それは知ってるわね?」
「うん。それが何か関係が?」
「ええ。姉が行方不明になった原因は組織だと。姉は組織に殺されたんだと思い込んでいるみたい」
「それで、組織に反抗してるってこと?」
「そうよ。それでジンったらあの子を牢に入れちゃったみたいなの」
ベルモットがため息をついた。
おそらくジンの虫の居所が悪かったためにそんな事になってしまったのだ。
本来なら彼女は組織にとって欠かせない人物のはずだから。
「とはいえ、今彼女を研究室に戻したところで何も変わらないでしょうね。姉は組織の手にかけられたと信じきって誰の話も聞こうとしないもの」
「それで僕に白羽の矢が立ったわけだ」
「そう。貴方、シェリーと仲が良かったでしょう?」
その言葉にすぐには頷けなかった。
「……昔はね。その様子なら僕の話も聞いてくれないと思うけど」
「もう貴方しか居ないのよ」
「……わかった。行ってみるけど期待はしないでよ」
「Thanks!成功したら御褒美をあげるわ!」
そう言ってベルモットはウインクをした。
容姿端麗な彼女がやると流石にサマになる。
しかしマールは多少の誘惑に釣られるような男ではない。
というより、幼いころから見慣れているため、ベルモットが世間一般に美女であるということを忘れている。
「……要らないよ。どうせろくなこと考えてないでしょ」
「つれないわねぇ。皆であんなに可愛がって育ててきたのに……」
「それは関係ないでしょ」
冗談を言い合いながら部屋を出る。
「じゃあ、行ってくる」
「OK!私は別の用事があるから。Bye!」
着いてこないのかよ。
心の中で突っ込みながら手を振った。
そしてシェリーの元に向かう。
果たして話は聞いてもらえるだろうか。
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作者名:優 | 作成日時:2017年5月7日 20時