【鬼滅の刃】陽光の巫女

力業 ページ45

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チラリ、と私に目配せする時透さん。


意図は何となく理解できる。




「時透さんってなんか海っぽいイメージですね」



「は？」


「髪の毛サラサラで、なびくとなんか波みたいです。絶対山ではないですよねー」


「……」


「あ、でも大きな木の葉が風に揺れてるようなイメージでも行けますね」



「…わかりにくい例え」
　

そうつぶやいた瞬間、時透さんは目にもとまらぬ速さで奥に見える山に向かって行った。

ついていく形で私も走り出す。
　

目指すは頭一つ分突き出ている大きな木だ。



「わかりにくいとか言って、わかってくれてるじゃないですか」


「舐めてるの？」


「とんでもない」
　

私が遠回しに伝えたのは鬼の居場所だ。
　

鬼に一瞬でも居場所がバレていることを悟らせなければ、その一瞬の隙ができる。

だから時透さんは声に出さず私に目配せをしたし、私も遠回しに場所を伝えた。
　

時透さんが来る前まで向こうが話しかけてくれたおかげで、渦越しに鬼の気配をたどることができたのだ。

最後の葉の音で場所は決定的になった。



「…移動してる」


「してますね」
　

方向を調整しつつ時透さんが山の麓に入っていく。
　

鬼は随分すばしっこい。血鬼術をうまく使って遠くまで移動することができるのだろう。

ただ、やはり術には制限があるようで、私をここまで転移させたような長距離転移はできないようだ。



「少しでも足止めできれば…」
　

鬼は時透さんを強敵だと認識したみたいで、私にはあまり警戒を向けていない。
　


これは時透さんのお役に立てる絶好の機会だ。





「天照大御神様、どうかこの山を惡鬼滅殺の光でお包みください…ッ！」
　


刀を差し、両手に一枚ずつ御札を持った手で柏手を打つ。


淡く光りだした二枚の御札を地面に押し付けると、眩しいほどの光が山の斜面を覆った。









「ガァアア亞唖ァア阿アアァ亜ァア！！！」
　


遠くから響く絶叫。
　

十二鬼月とはいえ、陽の光をもろに受ければ少しくらいの足止めにはなるだろう。
　



あとは、柱の時透さんに任せても、大丈夫だよね…。

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