【鬼滅の刃】陽光の巫女

屋敷 ページ38

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「稀血…。極上の稀血だ…」
　


ここで天照様の御力を借りて脱出することもできるが、今すぐ喰われそうかといえばそうでもなさそうだ。
　

コイツにも拠点となる場所があるのだろう。
　
もしかしたら同じように連れ去られた人がいるかもしれない。


となると、今は大人しく運ばれていた方がよさそうだ。



「…もしもーし」


「コイツを喰えば、またあの御方に…」


「聞く耳すら持っちゃいない」
　

どいつもこいつも鬼舞辻に認められようと足掻いてる。

鬼舞辻に認められてどうするんだか。



「ん…？屋敷…？」
　

木々の間から、ぽつんと佇む一軒の屋敷が見えた。
　
鬼は迷わずその家に入っていく。
　

いやな気配が染みついた屋敷だ。


血の気配が濃すぎる。

ちょっと気持ち悪くなるくらいこの鬼の気配がこびりついてる。
　

そもそもこの鬼から漂うそれ自体が濃いんだ。
　

霞湖の鬼も、毘売さんも超える強さ。



「あの御方にもう一度認めてもらえば、小生は十二鬼月に戻れる…」


「ッ！？」
　

十二鬼月…！？
　
それって、あの鬼舞辻の直属の配下みたいな鬼たちのことじゃ…！
　

どうりで血の気配が濃いわけだ。今は違うとはいえ、一時でも十二鬼月の一員だったってことは、それなりに人を喰っているし強い。




「む…」



「わ……ッと、」
　

急に手から落とされ、畳に着地する。
　

攻撃に備えて部屋の端の方まで後退したが、そういう素振りはなかった。



「誰だ。人様の家にズカズカ入り込みおって…ッ！」
　

ポンッと、鬼が背中に生えた鼓を叩いた瞬間





「……はい？」
　


部屋が変わった。
　

箪笥がいくつか置いてあった部屋から、卓袱台と座布団が置かれた部屋へ。



「ぇ、え？」
　

もしかして、私が移動した？
　

あの背中の鼓は空間移動の術！？

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