【鬼滅の刃】陽光の巫女

肯定 ページ36

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「……嫌いだよ」
　


善逸自身が善逸のことを嫌っているから。





「まぁ、そうだよね」


「そうだよねってどういうこと」
　

あぁいや違うんです。

善逸のことを貶したわけじゃなくて。
　

自分のことって、大体みんな嫌いだよねってはなしで。


そりゃそうだ、って言われれば、そうだねうんわかるよ。としか言い返せないけど。
　


自分のこと好きになるって、結構難しいと思うんだ。




「私もね、自分のこと、まだそんなに好きじゃない」
　

神様に選ばれた身なのに、特別強いわけじゃない。

私より強い人なんて五万といる。
　

生まれ持った力があるのに、それを生かしきれない私が、誰よりも嫌いだ。
　


どうして私なんだろう。


もっと器用な人にこの力が渡っていれば、世界はいろいろ変わったかもしれないのに。
　


何度も、何度も何度も思った。




「なんで！？Aちゃんは強いし可愛いし可愛いし優しい良い子なんだからちゃんと自信もちなよ！俺はちょー好きだよ！？」
　


思ってた。
　

でも今は、あまり思わない。
　


こんな私のことを強いって、好きだって言ってくれる人がいるってわかったから。
　

誰かに好きだって言ってもらえる自分のことが、ちょっとだけ好きになれた。






「…ありがとう。私は、善逸のことが好きだけどね」



「………は、？」
　


善逸が善逸自身のことを好きになれないなら、私が代わりに好きでいてあげる。
　

そうすれば、少しは自信がつくと思うんだ。
　


少なくとも、私は善逸のおかげで、自信がついたから。




「またね、善逸。たぶんまたすぐに会えるよ」
　


固まってしまった善逸に手を振って、歩き始める。






「次会ったときは結婚してくれよぉおおぉおお！！」



「それは嫌ぁあああ！」
　



ぶれない善逸との最後の会話に、思わず笑みがこぼれた。

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