【鬼滅の刃】陽光の巫女

救済 ページ13

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「…稀血の娘よ」
　



はっきりと聞こえる鬼の声。


落ちていく鬼の頭と胴体を見つめた。






「私は、水の中でしか強者でいられなかった。だからあの方も、認めてはくれなかったのだと考えている。お前も、そう思うか」



「わからない」
　



鬼舞辻が何を考えているかなんて知らない。


そうかもしれないし、違う理由があったのかもしれない。



そんなこと、私にわかるわけがない。




でも


「でも、何か一つのことを極めるのは、間違ったことじゃないと思う」
　



陸で強いなら陸で、水中で強いのなら水中で。


両方を中途半端に鍛えるより、片方を極めぬいた方がいいこともある。
　


人にも鬼にも、向き不向きはあるのだ。
　



それを尊重できないやつには、従うな。






「……そうか」
　






骨も残らず消えた鬼に合掌して陸に上がる。




「ぷハッ、はぁ、ふぅ…」
　


酸素を思いっきり吸える、息ができる幸せよ…。


深呼吸、深呼吸。

はあ、苦しくない。幸せだ。






「Aちゃん！」


「んぁ、善逸ー！倒してくれたんだ」

「そんなことより大丈夫なの！？もうずっと水中から上がってこないし、なんかめっちゃバリバリィって雷みたいな音したし、と思ったら水中から飛び上がってくるし！ヤバかったら一旦引くって言ったくせにすぐ水中行っちゃうし！すっごい恐かったんだからね！生きててよかったよぉお！！」
　

いつも以上によく回る舌だこと。


よく噛まないな善逸。

活舌いいんだね。
　


…なんて、随分心配かけちゃったみたいだ。




「ごめんね善逸。…ありがとう」
　

縋りついてくる善逸の頭をなでてやる。




「うっうッ、もうこれは責任取って結婚してくれないと…」

「ごめんちょっとそれは意味わかんない」
　

撫でていた手で頭をはたくと、痛いよAちゃん！？と騒ぐ善逸。本当にコイツは、いつでもどこでも変わらないな。
　



思わず笑みをこぼすと、反動で涙がポロリと流れ落ちた。

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