killing night 57 ページ9
「先生の葬式は、教え子がたくさん来るからきいつけや。絶対に僕らの近くを離れたらあかんで。」
『う、うん。』
たくさんというのは会場を見れば一目瞭然で、ただの一般人にはわからないかもしれないが全員がかなり腕の立つ殺し屋だと殺し屋である私は一目でわかった。
道を歩けばチラチラと見られる。
当然彼らはu.s.s.sのことを知らない者はいないため、それにくっついて歩く私というのは非常に不思議な風に見えるのだろう。
本式はこれから。
それが始まる前に先生へ最後の言葉を交わす。
4人とも思い思いの言葉を並べた。
普段は聞けないようなこと、私が全然知らなかったこと。
時より涙声になっている4人を私はずっと見つめ続けた。
「Aも、先生に挨拶しとき。せっかくやから。」
センラに背中を押され、眠る先生の前へ立つ。
シワシワの顔から結構おじいちゃんなんだって気付かされる。
『はじめまして、Aと言います。u.s.s.sのみんなと一緒に過ごさせてもらっています。私はあなたのことをよく知らないし、声もわかりません。でも、一つだけ感謝してるんです。u.s.s.sを、うらたと志麻と坂田とセンラを殺し屋にしてくれてありがとう。殺し屋として私と出会わせてくれてありがとう。多分全部あなたのおかげだと思います。私はきっとみんなとの架け橋になってくれたあなたを忘れないと思います。天国で私の先生に会ってください。きっと素敵な人だと思うから。』
一礼してからみんなのところへ向き直った。
みんなはなぜか赤面したり少し別の方向を見ていたり、あまり私とは目を合わせてはくれなかった。
「行こ、式始まんで、」
坂田に手を引かれ、葬式は始まった。
葬式は円滑に進み、先生の体を燃やす。
その工程に入った。
先生が見えなくなってからうらたは片目から小さな涙を流した。
初めて見たうらたの涙。
人知れず先生を思って尊敬してきたこと、今ならわかる。
やまだぬきの時のように私の手をそっと掴んだ。
私はそれを握り返す。
「あの人、会った時からじじいで、それでもしぶとく生きてて、いつ死ぬのかなって思ったら勝手に死んじまったよ。」
うらたに私は何も返さなかった。
ただ、うらたの言葉を聞き続けた。
「帰りましょう、船に。僕たちの家はあの場所だけですから。」
『はい。』
killing night 58→←killing night 56
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 436人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霧雲 - 推しのうらたんと・・・？っっは！体が透けている・・・？・・いい人生だった・・・！ (2021年8月8日 23時) (
レス) id: 85272682ce (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！ (2018年12月21日 2時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)
緑のさくら(プロフ) - 終わってしまったああぁぁ！！！！すっごく楽しく読ませて頂きました！表現力が高くて、透明感がある表し方で、もう何から何まで全部好きでした！！表現を学ぶのにとても勉強になりましたね！wお疲れ様でした！ (2018年12月21日 0時) (レス) id: cc75d0bcae (このIDを非表示/違反報告)
うめた。(プロフ) - 相原宙さん» 誤字でした！ご指摘ありがとうございます！ (2018年12月8日 1時) (レス) id: 6ac6c419a5 (このIDを非表示/違反報告)
相原宙(プロフ) - 74の大切って言った後なんですけど、｢うらたの私への大変｣って｢うらたの私への大切｣ですか？ (2018年12月7日 22時) (レス) id: bc22572701 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うめた。
| 作成日時：2018年11月15日 17時
