killing night 93 ページ46
「よかったん?うらたん引き止めんで。今ならまだ間に合うかもしれへんで?」
この2人だってAのことが好きだったのだ。
僕が知っている限りでは2人ともAには気持ちを伝えていなかったはず。
「好きやったよ。俺やって。」
先に口を開いたのは坂田だった。
「Aを好きでいる気持ちは誰にも負けへんって本気で思っとったし。それは今でも変わらへん。でも、Aがほんまに好きなんはうらさんやもん。俺がAに好きって言うたってAは俺を好きにならん。キスしたって起きへんし、俺がAを見とる時やって、俺の視線なんかちっとも気付かないでずっとうらさんの方見とった。そんなんもう…勝ち目なんてあらへんやんか…」
大体Aが電話でうらたんを好きと言った時からもうそれは叶わないものだったのだ。
僕が気持ちを伝えてからすぐに部屋を出て言ったのはAから直接「ごめんなさい」の言葉を聞きたくなかったからだ。
「キス、したん?」
志麻くんは少し驚いた顔で坂田に問いかけた。
「Aが風邪ひいた時、俺が隣におるのに、A寝ながらうらさんの名前呼ぶんやもん。そんなん耐えられへんやろ普通。…まーしーやって、好きやったんやろ、Aのこと。」
坂田は志麻くんへ話と視線を向けた。
「何回も、何回もアピールして出来る限り触れたつもりで、少しは俺のこと意識してくれとんのかなって期待したけど、あいつちっとも気付かんかった。」
志麻くんは寂しげな声色でそう答える。
うらたんとAは殺しあってるあの時じゃなくてお互いをお互いだと認識したあの日からもうとっくに惹かれ合っていたのだ。
うらたんが出て行った扉へ目を向ける。
きっと2人共幸せになれる運命だったのだろう。
「やっと出会えた運命の人やと、思ったんやけどなぁ…」
坂田は惜しそうな声を零す。
「運命やったんよ、僕らには。それでもAはうらたんを選んだってだけのことや。」
生涯でたった1人の大切な女の子。
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霧雲 - 推しのうらたんと・・・?っっは!体が透けている・・・?・・いい人生だった・・・! (2021年8月8日 23時) (レス) id: 85272682ce (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです! (2018年12月21日 2時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)
緑のさくら(プロフ) - 終わってしまったああぁぁ!!!!すっごく楽しく読ませて頂きました!表現力が高くて、透明感がある表し方で、もう何から何まで全部好きでした!!表現を学ぶのにとても勉強になりましたね!wお疲れ様でした! (2018年12月21日 0時) (レス) id: cc75d0bcae (このIDを非表示/違反報告)
うめた。(プロフ) - 相原宙さん» 誤字でした!ご指摘ありがとうございます! (2018年12月8日 1時) (レス) id: 6ac6c419a5 (このIDを非表示/違反報告)
相原宙(プロフ) - 74の大切って言った後なんですけど、「うらたの私への大変」って「うらたの私への大切」ですか? (2018年12月7日 22時) (レス) id: bc22572701 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うめた。 | 作成日時:2018年11月15日 17時