殺し屋やってるらしい。【浦島坂田船】 (ページ28)

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killing night 27 ページ28

「我慢して、我慢してたら、いつのまにか手にかけてた。怖いよな、人間って快楽の為ならほかの全てを捨てられんだから。」

それから、その後は坂田とまるっきし同じだった。
私はあえて何も言わなかった、志麻の顔も見ることはできなかった。

顔を見たら次こそ本当に泣いてしまう気がした。
志麻はこんな優しい声でどんな顔で話しているんだろう。
どんな気持ちだったんだろう。
考えれば考えるほど足が重くなっていくのを感じた。

「お前は？」

『私、は…何も覚えていないんだ。何も自分のことはわからないんだ、気づいたら殺し屋だった。何も、知らないんだ。』

大粒の雨に任せてそう言った。
例え、彼らが今まで行ってきたことが非道で酷だったことでも私は羨ましくてたまらなかった。
彼らは自分のことをよく知っているから、それと反対して私は知りたくても知れることはないのだから。

突然首もとにぬくもりを感じると、志麻に後ろから抱きしめられているのだと気づく。

「思い出さなくてええ、何も知らなくてええ、お前がここにいてくれればそれでええ。」

志麻は小さく呟いた。

『ありがとう、』

まだ、死にたくはないけれどこの人たちにだったら殺されてもいいと少し思った。