無陀野センセー大好きな女の子 (ページ31)

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｢梵って頭悪いだろ｣

｢センセーに比べたら全人類が頭悪いよ｣

一ノ瀬と不毛な会話を続けていた梵がふと視線をあげた先に釘付けになった。
梵の視線の先には提灯がいくつもぶら下げられた公園があり、公園の中央には沢山の人や屋台が並んでいる。
じっとそこを一心に見つめていた梵には、悪い顔をした一ノ瀬がその方向にコソコソと離れていった様子は映らなかった。

｢？どうしたんですか？｣

歩みが遅れているのに気づいた屏風ヶ浦が梵の方に戻ってきて声を掛ける。
それでも尚梵の視線は固定されたままだ。

｢あれは何してる人達？｣

やっと屏風ヶ浦の方を見た梵は首を傾げながら疑問を投げかけた。

｢えっと、お祭りをしてるんじゃないですか？｣

梵はお祭りを知らなかった。幼少期からずっと羅刹学園で過ごしてきた梵はほとんど鬼門島から出たことが無かった。
またお祭りをしている方向を見たまま、屏風ヶ浦の返答にふーんとこぼした梵は、声だけ聞けば興味が無さそうだか、その瞳はキラキラと光り、好奇心を隠せていなかった。

｢…屏風ヶ浦サンはお祭りしたことある？｣

瞳を輝かせたまま、興味津々といった様子でそう尋ねた。

｢えっ…と、あの、したことあるっていうか、何回か行ったことはあります｣

モジモジと下を向きながら答えた屏風ヶ浦は、姉と行った近所のお祭りを思い出していた。

｢へー、何をするの？｣

｢うーんと、私もあんまり詳しい訳じゃないんですけど、りんご飴を食べたり｣

｢りんご飴？｣

よっぽど興味があるのか、瞳を輝かせ頬をピンク色に染めた梵の姿はとても愛らしく、屏風ヶ浦には姉しかいなかったが、妹が出来たような気持ちになった。