無陀野センセー大好きな女の子 (ページ22)

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｢お前ら何してる｣

漣が梵に恋人についてを教えようとした所で、それまで全く気配がしなかった人物が現れた。
その声に、気配に、漣の目の前の彼女は湯上りかのように赤くなる。浴衣の襟の間から覗いた首元まで赤くなってしまっている。

｢あっえと……その……う、あ｣

喋れば喋ろうとするほど言葉になっていない。漣は驚き、そしてああ、と納得した。彼女が｢恋人｣に興味を示したのはそういうことか、と。

｢客に迷惑になる、話を続けるなら部屋に戻れ｣

一方無陀野は、明らかに自分に気がある態度の少女をいつもとなんら変わりのない表情で一瞥し、軽く注意をした後に背を向けて去っていってしまった。

｢……あんた、あのセンコーが好きなんだ｣

パッと勢いよく漣の方を向いた彼女は赤い唇を引き結び、眉は情けなく垂れている。ふっと小さく笑いが漏れた。

｢しょうがねーな、私が男をオトす方法を教えてやんよ！｣

｢え！？オトっ！？え？？？｣

明らかに片想いの乙女な顔をしている梵に漣は上機嫌にそう言った。自分の恋を邪魔する奴には容赦ないが、自分と同類まではいかなくとも同志のような彼女のことは応援してやろうと言う気持ちになる。恋する乙女の友情が今ここに成り立ったのだ。

翌日

｢無人くんはスケスケとミエミエどっちが好きですか！？！？！｣

梵は寝不足だったのだ。元々生活リズムが規則正しく、早寝早起きを心がけていた梵は夜更かしに慣れていなかった。だが昨夜は一方的な友情を育んだ漣が梵を寝かせてくれなかった。そして、しっかり一晩中漣に仕込まれた梵は、漣が教えたものとは若干ズレたことを馬鹿正直に実行し、無陀野に強制的に眠らされ、その様子を見ていた花魁坂は腹筋がよじれるまで爆笑していた。