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ab side
頭がフワフワする。
頭の中で広がる甘くて優しいその歌声は、聞いたことがあるメロディーを紡いでいて…。
｢…。｣
その声に導かれるように私は歩いていた。ちゃんと考えればおかしいと分かるはずなのに、私はその声に導かれるまま、ただひたすら歩いていた。
｢…裏門？｣
声が聞こえるのは雪の街の裏門。
今日は佐久間も担当しているはず。昨日のこともあるから今日は5人体制で守備しているはず…
なんてボンヤリする頭で辛うじて思考を繋いだ。
数人しか持っていない裏門の鍵を使って外に出た。
｢…え？｣
裏門の外に出た時、ぼんやりとしていた頭が少しずつ元に戻り。その時違和感に気づいた。
誰もいない…。
佐久間を始め、裏門を守ってるはずの護衛が姿を消していた。
｢…佐久間？｣
すると、
『来てくれると思ってたよ、阿部ちゃん』
またあの甘い声が頭に流れ込んできた。その声の主は私の前にふらっと現れた。
｢…し、翔太。｣
目の前に現れたのはにこりと微笑む翔太だった。
フラフラする頭を慌てて横に振り、目の前に立つ翔太を見据えた。
｢やっぱり。さすが阿部ちゃん。短い時間だけだったから効果は微妙だと思ってたけど、思った以上。｣
｢なんの事？それに…さく…ここを守っていた人は？｣
｢まあまあ、そんな慌てないでよ。夜はまだまだ長いんだから。｣
そう言って微笑む翔太は、私の知らない翔太のようで私の心に恐怖が宿った。
｢いい顔するね、阿部ちゃん。ねぇ。ここじゃゆっくり話せないからさ…俺らの家に来ない？｣
｢…いや、ここでいい。｣
｢えー、そんなつれないこと言わないでよ。じゃないと俺…悲しくてこの人たちに何するか分からないよ？｣
｢！？｣
そうやって笑う翔太が指さす方向にいたのは座り込む佐久間たちだった。どうやら眠っているようで胸は上下に動いており、怪我などはしていない。
｢…佐久間！！｣
私が慌てて佐久間に駆け寄ろうとすると
｢おっと阿部ちゃん。近づいちゃ駄目。｣
眠る佐久間に翔太は刃物を向けた。
｢…翔太、やめて。佐久間に手を出すな。｣
｢あーあ。阿部ちゃんそんな怖い顔しないでよ。可愛い顔が台無し。｣
そう言って笑う翔太に背筋が凍りつきそうだった。本当に目の前にいるのは翔太なのか？
｢…わかった。着いていくから佐久間たちに何もしないで。｣
｢ふふっ、阿部ちゃんならそう言ってくれると思った。｣
バシッ
その瞬間私の首に衝撃が走り、私は意識を手放した。
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さくら(プロフ) - orikacoさん» コメントありがとうございます！温かいお言葉、本当にありがとうございます、励みになっております！これからも亀更新ではございますが楽しんでいただけるよう精進します！ (2023年2月18日 23時) (
レス) id: 1995ada5eb (このIDを非表示/違反報告)
orikaco(プロフ) - お忙しい中、更新ありがとうございます！久しぶりの更新に歓喜しております( ˊᵕˋ*)さくら様のペースで大丈夫なので、これからも頑張って下さいね。気長に楽しみにしています。 (2023年2月8日 21時) (レス) @page20 id: 95f4d7b396 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 鳥本さん» コメントありがとうございます。お礼を伝えるのが大変遅くなってしまい申し訳ありません。温かいお言葉本当にありがとうございます！ (2023年2月8日 21時) (レス) id: 1995ada5eb (このIDを非表示/違反報告)
鳥本 - すごく面白いです (2021年12月5日 19時) (レス) @page16 id: 68c869632c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら
| 作成日時：2021年6月12日 18時
