45 mm side ページ47
｢分かりましたよ。｣
出ていくふっかさんの後ろ姿に、俺はそう声をかけたが、果たして聞こえているのか、いないのか...。
まぁ俺が返事しようがしまいが、これからやることに変わりはないから別にいいんだけど。
｢ふふっ。｣
翔太くんはというと、さっきまでふっかさんが座っていたソファに座ると、ふっかさんから外したお面を恍惚した表情で見て、
｢涼太...｣
そう名前を呟いた。
｢涼太...？誰っすか？｣
しかし、俺の言葉に返答はなく、翔太くんはふらっとソファの上に倒れていった。
｢翔太くん？｣
近づいて翔太くんの様子を見ると、スースーと穏やかな寝息をたてていた。どうやら眠ってしまったようだ。
ふっかさんが起きたかと思ったら今度は翔太くんか。
｢はー、2人とも自由すぎ。｣
俺はソファの下に落ちていた、さっきまでふっかさんに被せていた毛布を、今度は翔太くんにかけた。
｢...。｣
翔太くんがある力を使ったあとは大抵こうなる。今日はまだ大人しかった方で、酷い時には物を壊したり、人を殴ったり、散々暴れてそのままこうやって眠ってしまう。
これを止めるのは俺かふっかさん。ふっかさんは面白がって少し放置してから止めに入るんだけど...。被害被るのが面倒臭いから早めに止めてほしいものである。
目が覚めたら翔太くんの目は元の色に戻ってるし、性格もいつもの翔太くんに戻ってる。
まるでタチの悪い酔っ払いみたいだ。
｢…楽しい事ね。｣
翔太くんに布団をかけたあと、俺は窓の方へと向かい、外の様子を眺めながら、ふっかさんが先程言ってた言葉を呟いた。
この前は村を焼いたっけ。
今でもあの時のことは鮮明に覚えている。
炎に怯え逃げ惑う人々。
あちらこちらから聞こえる叫び声。
それは助けを求めるものや、誰かの名前を呼ぶものも…。
俺の足元に倒れていく異能を持たぬ人間たち。
必死に命乞いをしながら無惨に命を散らした。
俺たちが力を持っているからと、怯え、差別し、迫害したやつらが俺に助けを求め、どんどん倒れていく。
炎と血に染められたその景色は未だに頭にこびりついて忘れられない。
あぁ…それは、
今まで見た景色の中で1番悲惨で、残酷で…
そして
綺麗だった。
｢…楽しみだなぁ。｣
俺の口角は自然と上に上がるのだ。
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さくら(プロフ) - ふさん» コメントありがとうございます！返信遅くなり申し訳ありません！温かいお言葉もありがとうございます！更新再開させていただきます！楽しんで頂けたら幸いです！ (2021年3月17日 1時) (
レス) id: b581847efb (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 更新楽しみにしてます！頑張ってください☆☆☆ (2021年2月16日 21時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら
| 作成日時：2021年2月3日 21時
