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その日、リョウは裏門にいた。
ダテたちと話した通り、裏門の警戒を強め、その日はリョウ以外に他に2人が一緒に、裏門の見張りに当たっていた。
｢おかしい…。｣
静かすぎる。
鳥の鳴き声や風の音が一切しない。不気味に感じるほどあたりは静寂に包まれていた。
油断してはならない、そう気を引き締め直しふぅっと息を吐いた時だった。
｢変わらないね。｣
｢！！？？｣
急に後ろから声がしてリョウは慌ててその場から離れて振り向いた。
｢ちょっと、懐かしい仲間に会えたのに、そんな顔しないでよ。｣
｢…しょ、翔太？｣
リョウの後ろに立っていたのは青い衣を纏った翔太だった。翔太はにこりと微笑みリョウに近づいてきた。
｢何年ぶりだっけ？あー、数えるの忘れちゃったから覚えてないや。元気そうでよかった。｣
｢翔太こそ…。｣
｢今は"リョウ"って名乗ってんの？｣
｢なんで知ってる？｣
翔太の言葉にリョウは動揺していた。その間にも翔太は少しずつリョウとの距離を詰めて行った。
｢ふふふっ、なんでだろうね？｣
｢…まって他の2人は？｣
おかしい、リョウの他にも見回りをしていた人間が2人いたはずなのに先程から姿が見えない。
すると、
｢2人で話したかったからさ、邪魔されないように黙らせた。｣
そう言ってニヤリと笑う翔太は自分の後方を指さした。木の影に倒れていたのは変わり果てた門番2人の姿。
｢お前…。｣
何も言えず立ち尽くすリョウに翔太はニコリと笑って
｢ねぇ、こっちにおいでよ。｣
｢どういうこと？｣
｢気づいてるんだろ？俺が狐の仮面の男の元にいるって。｣
｢…"白い花の耳飾りの男"の目撃があったと噂で聞いた。｣
翔太は怪しげな微笑みを浮かべてリョウに近づく。リョウは警戒して何時でも異能が使えるよう構えた。
｢ねぇ、そんなに警戒しないでよ。｣
｢…翔太。｣
｢俺は誘いに来ただけ。ねぇ。俺と一緒に行こうよ。こんなところにいて、本当に楽しい？｣
気づけば2人の距離は触れるまであと一歩の所まで詰められており、リョウは慌てて翔太から距離を取ろうとした。しかし、翔太は微笑んだままリョウの腕を掴んだ。
｢離せ…。｣
しかし、翔太は腕を離さずやはり微笑んだままリョウを見つめた。リョウはその目に捕らえられたかのように動けなくなってしまった。
｢翔太。｣
｢また俺と一緒に過ごそうよ。あの時みたいに。｣
そして、リョウの耳元で溶けるような甘い声で翔太は囁いた。
『ねっ、"阿部ちゃん"』
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さくら(プロフ) - ふさん» コメントありがとうございます！返信遅くなり申し訳ありません！温かいお言葉もありがとうございます！更新再開させていただきます！楽しんで頂けたら幸いです！ (2021年3月17日 1時) (
レス) id: b581847efb (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 更新楽しみにしてます！頑張ってください☆☆☆ (2021年2月16日 21時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら
| 作成日時：2021年2月3日 21時
