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目黒は、その場で固まってしまった深澤の手を引きながら
｢ふっかさんこんな状態なんで、また出直します。それじゃあ。｣
そう言って着物を翻すと当たりに突風が吹き、ダテたちが目を離したその一瞬で2人は消えた。
頭上では何かが羽ばたく音がして鳥たちが急に騒ぎだした。
｢くそ、なんなんだ？｣
イライラした口調で照が呟いた。
｢知り合いじゃねぇのか？お前の名前、知ってたじゃねえか。｣
｢…わからねぇ。｣
｢わからねぇ？｣
すると、今まで黙っていたリョウが
｢照はここに来るまでの記憶が無い、所謂記憶喪失ってやつさ。｣
｢記憶喪失？｣
ダテは驚いた表情で照を見た。照は頷き、
｢リョウの言う通り。俺にはここに来るまでの記憶がない。自分が何者なのか…思い出せない。｣
｢分かっているのは異能持ちであることくらい。半年ほど前からこの街に住んでるけど今のところ思い出したことは…ほぼ無いに等しい。｣
それからリョウは照についてのことを話し始めた。
｢半年前、調度この小川付近で照は倒れていたんだ。それを見つけた佐久間と康二が私のところに運んできた。目を覚ましたあと照に自分のことを尋ねたが何も思い出せない…と。｣
その言葉に照は頷き
｢ああ…、何故倒れていたのか、何故怪我をしたのか、それだけじゃない、自分の名前もわからなかった。｣
｢じゃあ照って名前は？｣
ダテがそう言うと、照は懐からボロボロの御守りを取り出した。どうやら手作りらしいその淡い黄色のお守りには黒い糸で｢照｣と縫い付けられていた。
｢この御守りを見たリョウが、"ひかる"って読むんじゃない？って言ったから…俺は照って名乗ってた。どうやら当たりだったよ。｣
先程深澤は確かに彼を見て"照"と呼んだ。深澤と照の関係はまだよく分からないが照のことを知っていることには違いなさそうだ。
｢異能のことは覚えてたのか？｣
ダテが聞くと照は首を横に振った。
｢いや。そもそも異能が何なのかすらも俺は覚えてなかった。｣
｢じゃあどうやって思い出したんだ？｣
｢街でちょっとした喧嘩騒動が勃発してねぇ。それを照が止めに入ったけど相手も中々喧嘩が強くてね。拳を腹に受けた時にどうやら無意識で身体強化を使ったんだ。｣
｢俺も驚いた。やべぇって思った瞬間、反射的に出た。相手の手の骨5本全部折れた。｣
そして、その場面を見たリョウたちが異能持ちではないかと気づき、色々試した結果、照は身体強化の異能持ちだと判明したのだという。
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さくら(プロフ) - ふさん» コメントありがとうございます！返信遅くなり申し訳ありません！温かいお言葉もありがとうございます！更新再開させていただきます！楽しんで頂けたら幸いです！ (2021年3月17日 1時) (
レス) id: b581847efb (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 更新楽しみにしてます！頑張ってください☆☆☆ (2021年2月16日 21時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら
| 作成日時：2021年2月3日 21時
