Smoke (ページ3)

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第3話ページ3

私が彼に惹かれたのはバイト先や、学校で誰にでも優しい姿を見たから。あまり目立つ方ではない私にも、笑顔で優しく声をかけてくれた。

あの日もそうだった。
私はその日、最悪の体調だった。けど、テストやら何やらのことを考えると休む気にもなれず学校に来ていた。

けれどさすがに辛すぎて、私は保健室へ向かっていた。友達が付いて行こうか？と言ってくれたが大丈夫だと断り、1人で階段をおりていた。
すると

fk「…あれ、君…。」

「深澤…先輩？」

fk「やっぱり。…って待って顔色やばいじゃん。」

階段の手すりを持ってヨロヨロしながら歩いていると向かいから登ってきた彼に踊り場で声をかけられた。

fk「照ー！俺ちょっと次の授業遅れるわー。」

「はっ、なんだよサボり？」

fk「ちげーよ。可愛い後輩と校内デート♡」

「気持ち悪っ。…何この子？具合悪いの？」

fk「そうっぽい。というわけで俺の荷物といい感じの先生への誤魔化しよろしくー！」

そういうと、自分の荷物を隣にいた友人に渡すと、踊り場でしゃがみ、私に背中を向けた。

fk「はいのって！」

「えっ…でも。」

fk「でもじゃない！女の子はこういうとき、素直に甘えてなんぼでしょ。」

「…。」

fk「ほら！」

正直身体はもう限界だった。自分の体重の重さなんて気にしてられない。私は彼の背中に自分の身体を預けた。

fk「じゃあいっきまーす。」

「ごめんなさい…。」

fk「こういうときは、ごめんじゃなくて、ありがとうって言っとけ。」

そう言った彼の優しくて温かい笑顔が、朦朧としてきた意識の中でもはっきりと私の目にうつった。
彼の背中からはふんわり甘い香水の匂いと混じりほのかな煙草の香りがした…。
その香りに安心して、私は意識を手放した。