第12話 ページ12
1日がこんなに長くて、こんなにも苦しい日は初めてだ。けど、それでも時間はちゃんと進んでて、約束の放課後になった。
自分から放課後に話すとは言ったものの、結局どうするべきかなんて結論は出ていない。このまま正直に打ち明けるべきか…何も言わずに逃げてやろうか…。
鉛のように重たい足を無理やり動かし、いつもの場所へと辿り着いた。いつもなら幸せな空間なのに、今日は重たくて苦しい。
俺よりも先に着いていた彼は心配そうに俺の元へと駆け寄ってきた。
dt「翔太…。」
nb「…涼太…。」
やはり彼の顔を見ることが出来ず俺は俯いてしまった。
dt「昨日寝れてないでしょ。立っていたら余計にしんどいから、座ろう。」
自分から話すと呼び出したくせに何も言えないでいる俺に、彼は無理に話を聞き出そうとはせず、むしろ俺を気づかってくれた。
地面に自分のハンカチを敷いてその上に俺を座らせた。
nb「…。」
dt「…肩貸そうか？」
nb「…。」
俺は首を横に振った。
座ってからも俺は俯いたまま彼の顔を見ることが出来なかった。見てしまったら泣いてしまいそうだった。
ふと頭の上にふわっと温かいぬくもりを感じた。
涼太の手だ。大きくて…優しくて…温かい…。
dt「ごめんね、翔太。」
nb「…なんで…涼太が謝るんだよ。」
dt「翔太が今、何かに悩んでいるのは…何となくわかる。けど、それがなんなのか…わからない。けど、たぶん…俺の事だよね？」
nb「…。」
dt「ごめんね…翔太。」
…馬鹿だな、涼太。涼太は何も悪くないのに。
悪いのは…何も言い返せなかった俺。何も出来なかった俺。そしてそれを言い訳に涼太に心配かける俺。…俺が弱いから。それだけなんだ。
けど、…このままずっと自分の気持ちを押し込めるのか？父親の首輪に繋がれたままでいるのか？俺にとって、涼太はそんな簡単に…手放せる存在ではないのに。
それじゃ…ダメだ…。
nb「ねえ…涼太。」
今日、初めてちゃんと彼の顔を見た。ごめんね、そんな心配そうな顔、ずっとさせてたんだね…。
nb「…抱きしめて。」
dt「翔太…？」
彼は少し困った顔をしてた。
口が少し開いてるのが、その証拠。
今まで俯いてた俺が急に涼太の方を向いたからかな？急に抱きしめてなんて言ったから？普段はそんなこと言わないからね…。それとも…俺が笑ってるから？
dt「…。」
少し戸惑いながらも彼は優しく俺を抱きしめた。
あぁ…時間よ止まってくれ。悪い夢に邪魔される前に…。
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youjin(プロフ) - みかぷさん» コメントありがとうございます！あまりにも見切り発車になってしまった為、なんとかハッピーエンドにすることができて私も安心しております(泣)つたない私の作品を最初から見てくださり好きだと言ってくださってありがとうございます！ (2020年4月2日 20時) (
レス) id: 9f973415f0 (このIDを非表示/違反報告)
みかぷ(プロフ) - コメント失礼します！更新最初からずーーっと見ててものすごく好きです！！完結おめでとうございます！！最後の最後でお父様にバレずにくっついてほんとにホッとしました笑お疲れ様でした!!! (2020年4月2日 19時) (レス) id: 7be4d62213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2020年3月11日 19時
