第11話 ページ11
その日の夜は眠れなかった。泣き疲れたはずなのに、身体は眠ることを拒んでいた…。
涼太と離れるなんて無理だ…。けど、父親に背けば何をされるか…。父親は昔から気に食わないことがあれば金に物言わせて自分の思い通りにことが進むよう仕向けてきたような男だ。最悪涼太に危害が加わる可能性だってある…。
「どうすれば…いいんだよ。」
涼太……。今すぐ…抱きしめてほしい。俺の不安を取り除くのはいつだって彼であり、安らげる場所なのだ…。
お願い、俺から…、俺から涼太を取らないで…。
それからの記憶は朧気で…。母親の話もろくに聞かず、死んだように照の運転する車に乗り学校に向かった。いつもの駅の付近で、照は車のスピードを落とした。
nb「…。」
iw「…翔太様。」
nb「…。」
iw「今日は…よろしいのですか？」
nb「…。」
俺の返答が無かったことを照は肯定と受けとったのか、そのまま車は駅で止まらずにスピードを上げて学校へと向かった。
学校についてからも俺は抜け殻状態だった。いつも歩いて向かうはずの道を車で来たため、普段よりも早く学校に着いてしまったし、隣にいるはずの涼太がいないことに、クラスの何人かは不思議そうな顔をしていた。
dt「……翔太！？」
あぁ、来てしまった。
今1番会いたいはずなのに、1番会いたくない彼が。
何故かいつもよりギリギリの時間に、彼は息を切らしながら教室へと入ってきて、すぐさま俺のもとに向かってきた。
dt「良かった。翔太、学校来てたんだ。」
nb「…あっ、うん。」
dt「調子悪い？無理したらだめだよ。」
どこまでも優しい彼の言葉が俺の胸を締め付ける…。
責めてくれたら良かったのに…。
なんで先に行っちゃったの？とか、なんで連絡も何も無かったの？とか…。謝れよ…とか。責めてくれれば、楽なのに…。
彼が優しすぎて…彼の言葉が温かくて…。俺は涙を流さないよう必死だった。
dt「翔…太？」
nb「悪い、今は…ほっといて…。」
絞り出すような声で俺は何とかそう言った。
nb「…放課後…いつもの場所で…。話すから…。」
dt「…翔太…。」
それから彼は何も言わなかった。授業の時も、休み時間も…俺たちは初めて会話を交わすことなく過ごした。
彼は、俺の事を心配そうに、少し離れたところで様子を見ながらクラスの連中と話していた。俺はただ、昨日の話を思い出しては、どうするべきなのか…もがいて、もがいて答えを探していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 375人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
youjin(プロフ) - みかぷさん» コメントありがとうございます！あまりにも見切り発車になってしまった為、なんとかハッピーエンドにすることができて私も安心しております(泣)つたない私の作品を最初から見てくださり好きだと言ってくださってありがとうございます！ (2020年4月2日 20時) (
レス) id: 9f973415f0 (このIDを非表示/違反報告)
みかぷ(プロフ) - コメント失礼します！更新最初からずーーっと見ててものすごく好きです！！完結おめでとうございます！！最後の最後でお父様にバレずにくっついてほんとにホッとしました笑お疲れ様でした!!! (2020年4月2日 19時) (レス) id: 7be4d62213 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくら | 作成日時：2020年3月11日 19時
