第21話 ページ21
その日父親は俺に婚約の話をした後、職場から電話があり出ていった。
それを知った照はいつもより少し早い時間に涼太を呼んでくれたようで、日にちが変わる少し前に来てくれた。
彼の顔を見ただけで俺の目から涙が零れた。
dt「しょ、翔太…？」
nb「涼太…俺、俺…。」
dt「落ち着いて、何があったの？」
彼に優しくなだめられながら俺は父親から聞かされた話を涼太に伝えた。
dt「婚約…」
nb「…。」
dt「しかも1週間後って…。」
さすがの彼もなんと言っていいのかわからない様子だった。ただひたすら泣きじゃくる俺の頭をまるで小さい子どもをあやす様に撫でてくれた。
dt「その日は…翔太の…。」
nb「…っく。うぅ…。…なに？」
dt「あっ、いや…。ごめん。」
nb「俺嫌だ、涼太と離れたくない。」
彼の腕にしがみつき泣くことしかできない俺…。
どうして俺たちばっかりこんな思いしなきゃいけねぇんだよ…。
どうして俺たちを引き裂こうとするんだよ…。
nb「涼太…。」
dt「…。」
dt「なんで…お前は宮舘涼太なんだよ。なんで俺は渡辺翔太なんだよ。」
nb「…翔太。」
dt「もし違う家に生まれていたら…違う名前だったら、違う世界に生まれていたら…、こんな思いしないですんだのかな？」
dt「…。」
彼は黙ったまま、俺を抱きしめる力を強めた。
しばらく抱きしめられて、少しずつ俺は落ち着き涙もとまった。
dt「なんだか…ロミオとジュリエットみたいだね。さっきの翔太の言葉。」
nb「えっ…？」
dt「なんでお前は宮舘涼太なんだよ…って。ジュリエットのセリフに似たようなところがあった。あのふたりと俺らじゃ、状況は全然違うけどね…。」
…ロミオとジュリエットか。
nb「あのふたりは…愛し合ってるけれど…許されない恋。」
dt「そうだね…。悲しい恋のお話。」
nb「…嫌だ。」
dt「…翔太？」
nb「俺は悲劇なんて…嫌だ。涼太…。」
dt「…。」
nb「俺の恋を…悲劇になんてしないで。」
dt「翔太…。」
その時だった。
iw「失礼します、旦那様がお帰りになりました。もしかしたらこちらへ来てしまうかもしれません。」
照が慌てて部屋の中に入ってきた。タイミング悪く父親が帰って来たようだ。
dt「…翔太、ごめん。」
nb「…いい。早く行け。」
涼太は俺のおでこに口付けてベランダから外へと出ていった。
俺はベッドの中で布団に潜り、声を押し殺してまた泣いた…。
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youjin(プロフ) - みかぷさん» コメントありがとうございます！あまりにも見切り発車になってしまった為、なんとかハッピーエンドにすることができて私も安心しております(泣)つたない私の作品を最初から見てくださり好きだと言ってくださってありがとうございます！ (2020年4月2日 20時) (
レス) id: 9f973415f0 (このIDを非表示/違反報告)
みかぷ(プロフ) - コメント失礼します！更新最初からずーーっと見ててものすごく好きです！！完結おめでとうございます！！最後の最後でお父様にバレずにくっついてほんとにホッとしました笑お疲れ様でした!!! (2020年4月2日 19時) (レス) id: 7be4d62213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2020年3月11日 19時
