貪 欲 【短編】

Oikawa.t ページ1

「Aってさー、全然キスとかしてくれないよね」



 
家でのゆったりとしたオフを彼氏である及川徹と過ごしている時の一言。
テレビで恋愛もののドラマを見て思ったのだろう。
ムスッとして横を向く。
黙っていれば大人っぽいが行動はまだまだ幼さが沢山ある。



「キスなんて毎日するようなものでもないでしょ。」

「そうなのかも知んないけどさ。」


 
わざとらしく体育座りをして顔を埋める仕草をする。
未だに顔はムスッとしたまま。
いつも女の子に振りまいてる笑顔はどこに行ったのやら。
こうした表情を見れるのも彼女である自分だけ。
そう考えると少し笑みがこぼれる。



「何笑って…ん、の」


彼がこっち向いた時に、唇にキスをすれば目を開いて固まる。して欲しいって雰囲気出してきたのはそっちでしょ。と思いつつも目の前にあるミルクティを飲む。


「どう？これでいい？」


そういえば「あー、もう、しらない」なんて片手で顔を隠しては、わざとらしくため息をつく。



「何が知らないの？」



少し余裕を含んだ目で見ると、彼にはもう子供っぽさ等欠片もなかった。



「今から教えてあげるから」



色っぽいめで見つめられ耳元で囁かれる。
首元に髪の毛が当たってくすぐったい。


とん、と私の肩を押してソファに倒す。
それと同時に降り注ぐ貪るようなキス。
荒っぽいがそれもどこか心地いい。
彼の手が私の服にかかる。
それを阻止するように彼の手を掴むと





「まだまだこれからだよ、足りない。」




＿＿＿＿ねぇ、A？






 



あぁ、また彼に落ちていく。

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