児童養護施設のお兄さん。【桃】

会って2日目 ページ2

『お兄さんだぁれ？』



お兄さんの左手をぎゅっと握りながら見上げた。

お兄さんの手はあたたかくてずっと握っていたかった。



「俺さとみって言うの。今日からよろしくね。」

『うん！よろしくね！！』


『お兄さん大好き！』



お兄さんの顔を見上げた。

お兄さんは少し驚いた表情をしたあと、｢ありがとう｣と微笑んだ。


･


「今日からここがAちゃんのお家だよ」

『Aのお家？』

「うん。」



ここがAのお家？



『ここ、Aのお家じゃないよ？』

『Aのお家、こんなにおっきくないし、綺麗じゃないよ？』



お兄さんが少しぴくっとした後続けた



『あとねあとね、夜にはお母さんが居なくなってね、黒い人達がどんどんってドアを叩くの』

『A最初は怖かったんだけどね、黒い人達とお話したらね、「私を売ったらお母さんとお父さんの為になる」って言ってたの。』

『だからね、今日はお家帰らなきゃ』



そう言うとお兄さんは少し目を大きくして



「……ごめんな、辛かったよな」



そう言ってAの背中を撫でてくれた。

なんでだろ？

A悲しいお話してないのにお兄さん泣いてた。



「おーい、そこで何やってるんだ？」

「……」

『？』

「早く施設入れー」



施設？

施設ってなに？

分かんない……



『お兄さん、Aたち呼ばれてるよ？』

「……うん」



袖をくいっと引っ張った。

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