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misako side
仕事が忙しくて
久しぶりに
本当に久しぶりに訪れた
紘人さんの店
練習終わりの夜に行こうと思って
何度かチャレンジしようと思ったけど
実際終わってから
お店に行く余裕は体力的にも
精神的にもなくて
今日まで一回も来れなかった
やっとだー
やっとほっと息つく時間ができたー
前回来た時は
ストールと薄い上着で良かったのに
マフラーに顔を埋めながら
ドアに手を伸ばして
そんなに経ったかと改めて気づく
冷たい風が入り込むのを
最低限に抑えようと
するりと隙間から体を滑り込ませると
おお？と言う声にコートのボタンを
はずす手を止めれば
綺麗な顔で笑うアンバーが駆け寄ってきてて
その肩越しに見えるカウンターでは
紘人さんが手をひらひら振ってる
ああ
やっと来れた
自然とほぐれる心
無意識に心とともに緩んだ口元のまま
私の視線は特等席に向いた
差し込む日差しのもとで
こっくりこっくり
舟を漕いでるAがいて
尚更心が緩んだ
久しぶりだね
と私が席に向かう隣を
くっついてくるアンバーに
しーっAが起きちゃう
そう指を口元に当てれば
私の真似をして
しーっと言う
私と同じことしてるはずなのに
なんか様になって見えるのは
久しぶりに来て
2割り増しぐらい
アンバーをかわいく映してる
私の目のせいだろう
そーっと向かいに腰を下ろして
未だ舟を漕ぐAを
頬杖ついて見物する
まつ毛が長いな
肌がめっちゃ綺麗
相変わらず綺麗な顔
ぼけーっと
差し込む暖かい日差しを浴びて
飽きずに眺めていると
カップの置かれる音で
ようやく紘人さんが
テーブルまで来たことを知る
まだ何も頼んでないのに
運ばれてくるのは
Aと知り合って
仲良くなった特権
，
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作者名：天 | 作成日時：2020年5月30日 17時
