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misako side
偶然が続けば人はそれを
必然
運命
などと呼び始める
なら
タイミングが合わないときは？
つまりはそういうことなんじゃない
無機質な声と呼んでいいのか
女の人の声を耳から遠ざけ
スマホを握りしめて
ぐっと唇を噛み締めた
人が多いなと思った
金曜の夜だからかとやっと思い当たった
曜日なんか関係ない仕事をしていると
こういう時時間の配分が下手で
自分に嫌気がさす
会場の最寄駅は
人で溢れ
流れに乗らないと前に進まないくらい
その流れに逆らって
喧騒に背を向け
1人で会場へと早足で向かった
どこからか小鳥のさえずりが聞こえる
撮影後の昼下がり
私は紙袋を片手に
カフェまでの道を歩いていた
マネージャーに無理言って
近くまで寄ってもらった
袋の中身はパンフレットとステッカー
例の上映会で買ってきたもの
チケットのお礼だけれどそうは言わない
お土産だといえば
そうか、ありがとうとか笑って
受け取ってくれる姿が思い浮かんで
帰り際に買った
Aはいるだろうか
事前に確かめられれば
問題ないのだけれど
残念ながらAの連絡先を知らない
カフェに行けば会える感覚で
いたから今まで必要なかった
その関係性に
安心していたし
充分だった
そういえば
向こうからも聞かれたことなかったな
SNSの類は仕事で使用しつつも
プライベートの
大事な人とは電話で連絡すると
なんかの拍子で話になったとき
Aは特に興味もなさそうな顔で
相槌をうってた
連絡先は機密情報なわけだと
会って話せるなんて
僕は貴重なんだなと
ニヤリと笑った
そんなAをみて
私は大袈裟だと苦笑したっけ
，
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作者名：天 | 作成日時：2020年5月30日 17時
