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きみと一緒に暮らし始めて
2回目の桜が咲いた
僕の誕生日に
紘人は
何も言わずに
僕の大好きなメニューを
特別にその日だけのメニューとして表にだした
美味しいものって
みんなで食べるとなおさら美味しいよな
って言ったのがきっかけだった
僕が落ち込んだ時にだけ作ってくれる特別メニュー
おまえのためのメニューだから
と表に出さないと決めていたはずなのに
美味しい美味しいと食べる
お客さんの笑顔に
おいしいよなあ！
と声をかけて回りたくなる衝動を抑えて
僕の特等席でにやにやしながら
小説のページをめくった
いつもの僕なら
きっとそんな行動はとらなかった
それなりにいい容姿で
産んでもらったおかげというかなんというか
不用意に人と関わるのを避けてきたから
でもなんか惹かれたんだ
無理に理由をつけるなら
特別メニューが出てる日で
いろんな人に食べてもらいたかったから
なんてことがいえるのかもしれない
入り口できょろきょろと周りを見回して
席を探す貴女が
どうしてか気になった
紘人と
アンバーは何してるんだと
カウンターに目をやれば
2人とも手が離せず
入り口の彼女に気がついてない
気がついたら僕は椅子を引いて
彼女の前に立っていた
席空いてますよ、と
，
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作者名：天 | 作成日時：2020年5月30日 17時
